2022年、中国において5年ぶりに開催された中国共産党の「全国代表大会」。10月16日から22日までの日程で行われ、世界の注目を集めた。この中国共産党の全国代表大会は、どのような性質を帯びているものなのか。毎年開かれる「全国人民代表大会」とは何が違うのか。今大会の内容について触れつつ、解説していく。

中国共産党の「全国代表大会」とは? 全人代とはどう違う?

5年ぶり開催、中国共産党の全国代表大会とは? 全人代とは何が違う? その意義は?
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中国共産党の全国代表大会は、「党大会」と短縮して呼ばれることもある。現在は5年に1回開催され、第1回は1921年に開催された。2022年の今年に開催された党大会は第20回にあたる。第18回は2012年、第19回は2017年に開催された。党大会では、中国共産党の指導部の体制のほか、中国共産党の今後の方針が決定される。位置付けとしては、中国共産党の「最高決定機関」だ。

ちなみに全国代表大会とは別に、「全国人民代表大会」(略称は全人代)というものもある。これは、日本で言えば「国会」に相当するもので、5年に1度ではなく、毎年3月ごろに開催される。間接選挙で選ばれた中国人民の代表が北京の人民大会堂に会するもので、国家主席や国務院総理が選ばれる。全国代表大会とあわせて知っておくと、中国における政治の仕組みを理解するときに役立つだろう。

全国代表大会は、世界にどのような影響を与えてきたのか

世界において中国の影響力は年々高まりつつある。中国企業の製品・サービスは以前よりますます世界規模で展開されるようになり、アメリカや欧州圏、中東、アフリカ、そして日本においても、多くの中国製の電化製品やスマホアプリなどが利用されている。

こうした中国の世界に対する影響力の高まりから、中国共産党の今後の方針や人事を決める全国代表大会の動向は、より注目を集めるようになってきた。

例えば2012年の第18回大会では、習近平政権の始動を意味するものとなった。習氏は全国代表大会のあと、メディアに対し「中華民族の偉大な復興」を強調したほか、市場経済も積極的に導入するという「中国の特色ある社会主義」も掲げた。

中国のトップが市場経済の導入に積極的になるということは、中国企業が市場経済において競争にさらされ、中国独自の市場ではあるものの、一定の競争力を得ていくということだ。そうなれば、世界経済を舞台に、中国企業の影響力がますます高まる可能性が高くなる。

こうしたことは、世界各国の首脳に大きな危機感を覚えさせた。最近は中国指導部による国内企業への規制強化の動きが目立つが、第18回大会からの10年においては、中国内外で大きな成長を遂げた中国企業は少なくない。

2022年、今年の第20回全国代表大会の主要トピックスとは

ではここからは、今年の第20回全国代表大会の主要トピックスを紹介していこう。

毎年恒例の「報告」の内容は?

第20回全国代表大会では、習国家主席が過去10年間における中国国内の重要事象などについて報告した。こうした報告は大会ごとに行われており、今大会ではこの報告に約1時間45分が費やされた。第19回大会では3時間を超える時間が使われたことを考えると、今年は短かった。

強調されたこととしては、中国共産党が設立から100年を迎えたこと、第18回大会でも掲げられた「中国の特色ある社会主義」が新たなフェーズに入ったこと、貧困の克服に一定の成果があったこと、などが挙げられる。

「一帯一路」に関する方針は?

中国は現在、「一帯一路」政策を強力に推し進めている。一帯一路とは、習国家主席の肝いりの国家プロジェクトで、アジアと欧州を結ぶ物流ルートを陸路と海上航路において構築し、貿易活動を盛んにすることで経済の発展を加速させようというものだ。

「現代版のシルクロード」とも呼ばれる一帯一路。この一帯一路については、さらにプロジェクトを前進させることに力を注ぎ、各国を巻き込んだ物流インフラの構築をスピードアップさせ、連携国との安定的かつ質の高い貿易関係を維持・促進するとした。

「台湾問題」に関しては?

世界が注目している中国関連のトピックスとしては、「2つの中国」などとも形容される台湾問題が挙げられる。中国は台湾地域を統一しようとしているが、台湾側はこの動きに激しく反発している。

第20回全国代表大会で習国家主席は、台湾について「平和的な統一」を基本原則とするものの、統一のための手段としては武力の行使も選択肢から排除しないことを説明している。ただし台湾住民の世論を意識してか、武力行使の対象は台湾住民ではなく、平和的な統一に反対する一部勢力に対してだ、と強調した。

中国が抱える目下の課題についても注目を

2022年10月、5年ぶりに開催された中国共産党の第20回全国代表大会。次回の2027年の第21回大会までの中国共産党の方針が決まり、今後中国はこの方針の下、世界における経済力・政治力をますます高めていきたい考えとみられる。

一方、中国に関してはこうした中長期的な視点、マクロ的な方針だけではなく、目下、中国国内で起きている諸問題がどうなっていくかにも注目していきたいところだ。

例えば、新型コロナウイルスの蔓延などによる景気減速という懸念や、アリババなどの巨大IT企業に対する国家の介入による影響などは、投資の視点からも大きなトピックとなる。引き続き、中国の動向には注目していきたい。

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