生命保険には「掛け捨て型」と呼ばれる商品があります。保険料を抑えつつ必要な保障を準備したい方におすすめです。本記事では、掛け捨て型の生命保険のメリットやデメリット、選び方を詳しく解説します。
掛け捨て型の生命保険とは?
掛け捨て型の生命保険とは、保険期間(あるいは保障期間)中に所定の給付条件を満たした場合に限り、保険金が支払われる保険のことです。満期までに給付条件を満たさなければ、支払った保険料が戻らないことから「掛け捨て型保険」といわれます。一般的な医療保険やがん保険、就業不能保険、定期保険などの保険商品が掛け捨て型に該当します。
なお、掛け捨て型と比較される保険商品が「貯蓄型生命保険」です。貯蓄型は解約返戻金や満期保険金を受け取れるケースが大半です。掛け捨て型生命保険には貯蓄型のような貯蓄機能がなく、解約返戻金や満期保険金を受け取れないことから、保険料が安い傾向にあるのが特徴です。
掛け捨て型のメリット
掛け捨て型の生命保険にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、掛け捨て型の生命保険のメリットについて詳しく解説します。
掛け捨て型の保険のメリットとして挙げられるのは、貯蓄型保険と比べて保険料が「お手頃」なこと、保険の見直しがしやすいことの2点です。
掛け捨て型保険は保険料が「お手頃」
掛け捨て型保険は貯蓄型保険と比べて保険料がお手頃なため、家計の負担を抑えられるのがメリットです。今回は、A社における掛け捨て型医療保険と、貯蓄機能を持つ医療保険の保険料について、以下の条件でシミュレーションを行いました。
- 30歳男性
- 入院給付金日額:5,000円
- 入院中の手術・放射線治療:5万円(1回)
- その他(外来)の手術:2万5,000円(1回)
シミュレーションの結果、掛け捨て型医療保険の保険料は約1,400円、貯蓄機能を持つ医療保険の保険料は約2,900円でした。このことから掛け捨て型の保険料は、貯蓄型の半額以下で済むことがわかります。
そのため、家計の負担をなるべく抑えつつ、必要な保障を準備したい方には掛け捨て保険が向いているといえます。また、資産形成を目的として貯蓄や積み立てを他の金融商品などで行っている方にも、掛け捨て保険が適しているといえるでしょう。
掛け捨て型保険は見直しがしやすい
掛け捨て保険のもう1つのメリットとして、保険の見直しがしやすい点が挙げられます。通常、掛け捨て保険には解約返戻金がなく、貯蓄型保険のように解約するタイミングを気にする必要がないためです。
貯蓄型保険の場合、解約時期によっては、解約返戻金が支払った保険料を下回る可能性があるため、好きなタイミングで解約しづらいというデメリットがあります。しかし、掛け捨て型なら解約するタイミングを気にせず、手頃な保険料で必要な保障を選べるのです。
生命保険においては、ライフステージの変化に合わせて保障内容を見直し、必要な保障を選ぶことがポイントとなります。保険の見直しがしやすく、柔軟に対応できる点は掛け捨て型のメリットといえるでしょう。
掛け捨て型のデメリット
掛け捨て型保険の主なデメリットとして、支払った保険料が戻ってこない点や、更新時に保険料が値上がりしてしまう点が挙げられます。ここでは、掛け捨て型の保険に加入するデメリットについて詳しく解説します。
掛け捨て型は保険料が戻らない
掛け捨て型保険のデメリットは、支払った保険料が戻らない点です。解約時や満期時に受け取れるお金はほとんどなく、あったとしてもごくわずかです。保険期間中に給付条件を満たさない場合は保険金が支払われないため、もったいないと感じる人もいるでしょう。
掛け捨て型保険は、お手頃な保険料でライフステージに合った保障を準備しやすい点が魅力です。しかし、病気やケガなどの万が一の際に備えながらも、支払った保険料を無駄にしたくないといった人には向いていません。
支払った保険料が戻らないことをデメリットと感じる人は、多少保険料が高くても、解約返戻金や満期保険金を受け取れる貯蓄型保険を選ぶ方がよいです。
掛け捨て型は更新の際には保険料が値上がりする
掛け捨て型保険を更新すると、保険料が値上がりすることに注意が必要です。一般的に、掛け捨て型保険の保障はある期間に限定されます。保険期間が満了になると、契約を更新することが可能となります。
生命保険においては、加入者の年齢が上がることによって病気のリスクが増加することなどから、年齢が高いほど保険料も高くなるのが基本です。掛け捨て型保険の場合は契約更新時の年齢で保険料が再計算されるため、必然的に保険料が値上がりすることになります。
ただし、掛け捨て型保険には保障期間が一生涯続く終身タイプの商品などもあります。終身タイプであれば基本的に保険料が上がらないため、契約更新によって値上がりするのを避けたい人に向いているでしょう。
掛け捨て型保険の選び方
掛け捨て型保険を選ぶ際は、以下の3つのポイントに注目するとよいでしょう。
ここでは、掛け捨て型保険の選び方について詳しく解説します。
加入する目的で掛け捨て型保険を選ぶ
掛け捨て型保険を選ぶなら、まずは加入する目的を整理しておくことが重要です。掛け捨て型保険は、貯蓄だけでは対処できない経済的リスクに備える目的で利用されることが多いです。
生命保険には、死亡や高度障害、余命宣告を受けた際に備える「死亡保障」、病気やケガに備える「医療保障」、がんに備える「がん保障」、さまざまな傷病を理由に働けなくなった場合に備える「就業不能保障」など、さまざまなリスクに対応する商品があります。
たとえば、子どもの誕生をきっかけに、万が一の際の生活費や教育費の準備などを考えるならば、就業不能保障や死亡保障などで備えるのがよいでしょう。掛け捨て型保険を選ぶ際は加入目的を明確にし、自分に合った商品を選ぶことが大切です。
保障期間で掛け捨て型保険を選ぶ
掛け捨て型保険は「保障期間」から選ぶこともポイントとなります。保障期間は商品によって異なり、主に以下のようなタイプに分けられます。
- 10年や20年といった一定期間、保障が続く「更新型」
- 60歳や70歳など一定の年齢になるまで保障が続く「全期型」
- 一生涯保障が続く「終身型」
保険料の面で考えるならば、「更新型」の場合は契約当初の保険料が安い傾向にありますが、更新時に値上がりするため、契約が長期間に及ぶと割高になる可能性があります。
一方、「全期型」や「終身型」は契約当初の保険料が更新型に比べて高い傾向にありますが、保険料が一定のため、長期で考えれば割安になる可能性があります。
また、加入目的に応じて保障期間を考えることも重要です。たとえば、現役世代が収入減少に備えるなら、「定年退職するまで」「子どもが独立するまで」といった選択肢があるでしょう。
保険料で掛け捨て型保険を選ぶ
月々の保険料から選ぶのもよいでしょう。掛け捨て型保険を取り扱う保険会社は多数あり、保険商品の種類や特徴はさまざまです。同等の保障内容でも商品によって保険料が異なるため、複数の保険商品を比較し、検討することが重要です。
たとえば、生命保険を取り扱う保険会社には、営業担当者と相談しながら保険を選べる「対面型」と、インターネットで試算から申し込みまで完了する「通販型(ネット型)」があります。一般的に、保険料が安いのは「通販型(ネット型)」の保険会社です。
実際に、対面型のA社と通販型のB社の定期保険の保険料を、ほぼ同等の条件で比較しました。
- 契約年齢:30歳
- 保険期間:10年間
- 死亡保険金額:3,000万円
保険料の試算結果は、対面型のA社が約6,700円、通販型のB社が約2,700円であり、2倍以上の差があることがわかります。保険料から選ぶ場合は、通販型の保険会社の商品をいくつかピックアップし、比較してみるとよいでしょう。ただし、保険料の安さだけにとらわれず、保障内容や給付条件などをよく確認することが重要です。
掛け捨て型保険の注意点
掛け捨て型保険の注意点として、契約が自動更新される定期タイプに気を付ける必要がある点や、年齢によっては終身タイプを選んだ方がよい場合もある点などが挙げられます。ここでは、掛け捨て型保険の注意点について詳しく解説します。
自動更新される定期タイプに気をつける
定期タイプの掛け捨て型保険を契約している場合、満期を迎えるタイミングには注意したいです。多くの場合、解約手続きをしなければ、契約は自動更新されます。前述の通り、定期タイプの掛け捨て型保険は更新時に保険料が値上がりします。
当然、加入している保険の満期が近くなれば、保険会社から通知が届きますが、書類を確認せずに放置している人などは「気付かないうちに保険料の負担が増えていた」という
ことになりかねません。
定期タイプの保険期間が満了するときは、保障内容を見直すよいタイミングです。満期を迎える際の主な選択肢は以下の3つです。
- 保障内容や保険料に不満がなければそのまま更新する
- 主契約や特約を見直して更新する
- 解約してほかの保険に加入する
自身のライフステージに合わせ、必要な保障と保険料のバランスを考慮して選択することが大切です。何も考えずに自動更新した結果、保険料の負担が増えてしまい、保障内容にも過不足がある状態になってしまっては元も子もありません。
年齢によっては終身タイプの方がいい場合がある
加入時の年齢によっては終身タイプを選んだ方がよい場合があります。近年は男女ともに平均寿命が延びています。厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳となっています。
たとえば、65歳で20年の定期タイプの保険に加入した場合、85歳で保険期間が満了します。つまり、長寿命化によって生存中に保険期間が満了する可能性があるということです。保険期間が満了して保障がなくなることに不安がある場合は、終身タイプへの加入を検討するとよいでしょう。
また、75歳以上になると公的医療保険の後期高齢者医療制度が利用できます。そのため、公的医療保険の保障も考慮し、掛け捨て型保険の保障が必要かどうかを判断する必要があります。自身の年齢や健康状態をふまえて、終身タイプの保険も視野に入れて検討するとよいでしょう。
掛け捨て型だけじゃない! 貯蓄型と比較する
貯蓄型保険は、万が一の際の経済的なリスクに備えつつ、将来に向けて貯蓄できる保険商品です。掛け捨て保険との主な違いについて、以下の表にまとめます。
掛け捨て型保険 | 貯蓄型保険 | |
---|---|---|
加入目的 | 保険料の負担を抑えつつ、経済的リスクに備える | 経済的リスクに備えつつ、将来に向けて貯蓄する |
保険料 | 貯蓄型に比べて安い傾向がある | 掛け捨て型に比べて高い傾向がある |
満期保険金 | なし | あり(商品によってはなし) |
解約返戻金 | なし(商品によってはあり) | あり |
主な保険の種類 | 医療保険、がん保険、収入保障保険、定期保険 | 個人年金保険、学資保険、終身保険、養老保険 |
貯蓄型保険は、保険料の一部を貯蓄に回すことから、掛け捨て型保険に比べて保険料が割高となります。その分、将来的に満期保険金や解約返戻金として戻ってくるのが特徴です。主な保険の種類としては、将来受け取る年金を自分で準備する「個人年金保険」や、子どもの教育資金を準備する「学資保険」などが挙げられます。
経済的なリスクに備えつつ、将来の資金需要に備えたい方に向いているのが貯蓄型の生命保険です。自身のライフステージに応じて、掛け捨て保険だけではなく貯蓄型保険への加入も視野に入れて検討するとよいでしょう。
掛け捨て型保険がおすすめな人
掛け捨て型保険は、以下のような人におすすめです。
ここでは、掛け捨て保険がおすすめの人と、その理由について詳しく解説します。
20代で十分な貯蓄のない人
20代で十分な貯蓄のない人には掛け捨て保険がおすすめです。たとえば、病気やケガで入院することになった場合、治療費や入院費などの負担を貯蓄で賄うのが難しいからです。また、入院が長引けば収入が減少する可能性も考えなければなりません。
掛け捨て保険なら保険料が安く済むので、家計の負担を抑えつつ必要な保障を持つことができます。一般的に20代は病気のリスクが低い年代ではあるものの、不慮の事故などで医療費を負担しなければならない事態を想定しておくとよいでしょう。
結婚・出産などで出費が多い人
結婚や出産などを控えている方は出費が多くなるため、保険料の負担が大きいと家計を圧迫する可能性があります。そのため、保険料の負担をなるべく抑えつつ、必要な保障を持つなら掛け捨て保険がおすすめです。
自分に万が一のことがあった場合に、パートナーへ与える資金負担を考え、掛け捨て型の定期保険や収入保障保険などへの加入を検討するとよいでしょう。また、将来的に出産する可能性がある女性なら、女性特有の病気に備えられる保険を選び、妊娠前に十分な保障を検討しましょう。
定年退職間近で収入が少なくなる人
定年退職間近で収入が少なくなる方には掛け捨て型保険がおすすめです。定年退職を迎えると主な収入源は年金となるので、収入が減少する方や、老後資金が不十分な方は保険料の負担を抑える必要があるためです。
しかし、50代後半になると、既往歴のために新規の保険契約が難しい人もいるでしょう。その場合は、持病がある人や健康に不安がある人でも加入しやすい「引受緩和型」の保険を選ぶのがおすすめです。一般的な掛け捨て保険よりも保険料が高くなりますが、貯蓄型に比べれば保険料の負担を抑えられるでしょう。
保険の専門家に相談する
掛け捨て型保険にはさまざまな商品があり、どれを選べばよいか迷うという方が多いのではないでしょうか。掛け捨て型保険の商品をインターネットなどで検索するのもよいですが、保険の専門家に相談して自分に合った保険を提案してもらうのがおすすめです。
保険を選ぶ際は保険料や保障内容だけではなく、給付条件などの細かい内容にも目を向ける必要があり、知識がないと大事なポイントを見落としてしまう可能性があります。ZUU Advisorsなら保険の専門家に無料で相談でき、自分に合った保険を見つけられるので、まずは気軽に利用してみましょう。
よくある質問
生命保険は掛け捨て型で本当に十分?
掛け捨て型保険にはメリットとデメリットがあり、掛け捨て型だけで十分かどうかは一概にはいえません。たとえば、掛け捨て型保険で十分な保障を準備できていても、貯蓄が苦手で将来の資金需要に備えられない場合は、貯蓄型保険への加入を検討する必要があるでしょう。
一方、ある程度資金に余裕があり、貯蓄や積み立てを他の金融商品などで行っている場合は、掛け捨て型保険だけで十分な場合もあります。生命保険を選ぶ際は、自分のライフステージに合わせて必要な保障を持ちつつ、将来の資金需要に備えることが重要です。掛け捨て型保険だけに固執せず、貯蓄型保険への加入も含めて多角的に検討しましょう。
死亡保険は何歳までかけた方がよい?
死亡保険を何歳までかけるかは、加入目的によって異なります。葬儀代や墓代の準備が目的なら終身で考えるケースが多く、パートナーや子どもの生活費や教育費の準備が目的なら、子どもの独立が1つの目安となるでしょう。
掛け捨て型の生命保険はもったいないの?
加入者の価値観にもよりますが、一概に掛け捨て型保険がもったいないとはいえません。掛け捨て型保険は保険料の負担を抑えつつ必要な保障を準備できるので、万が一を考えると加入するメリットは大きいといえます。
掛け捨て型の生命保険に解約返戻金はあるの?
一般的な掛け捨て型保険には解約返戻金はありません。あったとしてもごくわずかなので、解約返戻金を受け取りたい人は貯蓄型保険を選ぶのがおすすめです。
掛け捨て型と貯蓄型どちらがいいの?
掛け捨て型と貯蓄型のどちらを選ぶかは、加入目的などによって異なります。保険料の負担を抑えつつ、必要な保障を準備したい方は掛け捨て保険を選ぶとよいです。一方、支払った保険料が戻ってこないのがデメリットと感じる方や、保障を持ちつつ貯蓄したい方は貯蓄型を選ぶとよいでしょう。いずれにしても、自身のライフステージに合わせて必要な保障を選ぶことが重要です。
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