日経平均株価
(写真=PIXTA)

筆者が2月末に配信したコラム( /archives/98809 )で、3月末までの日経平均株価の動きについて見通しを書いた。そこでは2月半ば以降から戻り歩調にあった日経平均株価は3月も堅調に推移すると予想した。ただ、上値では戻り売りも膨らむとの前提から、戻ったとしても日経平均株価の戻りは1万8000円程度とした。

今回のコラムでは2月末に予想した3月の日本株がどのような動きとなったのかをまず検証し、予想に対して異なる動きとなった場合にどのように対処すべきかについても示すことができればと考えている。

3月の日経平均を振り返る

まず3月相場の動向について振り返ってみよう。結論からいうと、日経平均株価が戻り歩調をたどるという相場の方向性は的中したといえる。実際、2月末に1万6026円だった日経平均株価は3月14日に一時1万7291円まで上昇し、その後も1万7000円水準で底堅い動きが続いた。

3月相場を予想するうえで私が重要なポイントとして挙げたのは、①中国全人代、②ECB理事会、③日銀金融政策決定会合、④米FOMCの4つ。日銀の政策面での動きはなかったが、中国の全人代では財政支出を拡大し、景気を下支えする方向性が示されたほか、ECB理事会では筆者が想定したように量的緩和の規模拡大を含めた強力な追加緩和策が示され、米FOMCでも利上げを慎重に進める「ハト派」的なスタンスが示された格好だ。

こうした各国の政策イベントにより市場心理が徐々に落ち着いたことから、それまでリスクオフポジションを積み上げてきたヘッジファンドが株式などのリスク資産の買い戻しを活発化させ、これが日本株をはじめ世界の株価上昇につながった。

また2月のコラムでも指摘したように期末に向けた安倍政権の政策対応に対する期待が高まったことも日本株のサポート要因となったといえよう。実際、信託銀行が3月第4週までで18週連続の買い越しとなるなど公的マネーによる日本株買いの動きが鮮明となり、年度末に確定する年金基金の運用成績を改善させるような動きがみられた。

加えて、日本の景気を浮揚させるべく、大規模な財政出動観測が高まったことや消費増税先送り観測が高まったことも日本株にとって支援材料になった。

短期の相場を見る上では「需給動向」が重要ポイント

3月相場の方向性はある程度予想通りの展開となったが、これはそれほど難しいことではない。というのは2月下旬に中国で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議で、世界景気の回復をサポートするために協調して政策対応にあたるとの姿勢が示され、3月に各国の重要政策イベントが目白押しだということを把握してさえいれば、上記のような展開は容易に予想できたためだ。

また、短期筋のポジションが過度にリスクオフポジションに傾いていたことなど需給の点からみても、3月の株式市場は世界的に戻りやすい状況にあったといえる。特に1か月という短期の相場を見る上では、需給動向が重要なポイントとなるため、今現在、投機筋がどのようなポジションをとっているかは常に把握しておきたい。

ちなみに、投機筋のポジションは、日本株なら海外投資家の先物売買動向をみておくとよい。同統計は日本取引所グループのホームページで毎週更新されるので、これは常にチェックしておきたい統計だ。日経平均が20000円を回復して戻り高値をつけた昨年12月第1週以降、海外投資家は2月第4週までに先物を2兆円以上売り越した状態にあったことを踏まえると、日本株はきっかけ次第で戻りやすい地合いにあったことがわかるだろう。

3月相場で予想と異なる展開となったことは日本株の上値が予想以上に重かったことだ。需給環境からいえば、ヘッジファンドなど投機筋が積み上げた投機筋のポジションの巻き戻しによりに日経平均株価は18000円程度まで戻ってもおかしくないとみていたが、実際は17200円程度の戻りにとどまった。

今回日本株の戻りを限定的にさせたのは、ドル円の円高基調が続いたことだ。世界景気の先行き不安が高まるなかで、世界の投資家は各国企業の業績動向を注視していた。3月のFOMCで米利上げ速度が非常にゆっくりしたものになるとの観測が高まり、「ドル安円高圧力の強まり→日本の輸出企業の先行き業績懸念→中長期投資家による日本株売り」という流れとなったことが日本株の上値を圧迫した格好だ。

ただ日米株の動きを常に見比べていれば、日本株の上値が当面重くなるということはすぐに判断できた。円高が重しとなる日本株の戻りは鈍い一方、ドル安が追い風となる米国株の戻りの良さが目立つなど、明らかに世界の投資マネーが日本株よりも米国株に向かっていたことが一目瞭然だったためだ。

自分の立てた見通しに固執すると成功しない

どのような相場にもいえることだが、本来戻りそう局面で戻らない、本来下がりそうな局面でなかなか下がらないということは、相場の中身に何かしらの変化が起きている可能性が高いといえる。こうした時には自分の立てた見通しにひたすら固執することはせず、柔軟に考え方を改めるということが重要となる。買っても買っても儲からない、売っても売っても儲からないとなってきたら、逆に売ってみる・買ってみるという投資行動を試してみると、これまでと違う景色がみえてくることもある。

相場の先行きを見通すうえでは、マクロ、政策イベント、需給、業績など様々な視点から分析する必要がある。ただ、重要なのは自分の分析と異なる結果となりつつあるときに、すぐに相場に対する見方を柔軟に変化させ、マーケットの動きに順応できるかどうかということ。「言うは易し行うは難し」だが、これができれば、投資の世界で挽回不能な損失を被るリスクを相当程度抑えることができる。相場が発する声に常に耳を傾ける姿勢を忘れないようにしたい。

石黒英之(いしぐろ・ひでゆき)
専門商社勤務を経て2004年に岡三証券に入社。入社後は渋谷支店で個人営業に従事。2006年岡三経済研究所経済調査部(現:岡三証券 グローバル金融調査部)を経て、2008年岡三証券投資戦略部日本株情報グループに配属。2010年日本株情報グループ長(現:日本株式戦略グループ長)となる。2016年3月末で岡三証券を退社。

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