子供の頃からのマネー教育がお金持ちを作る

私たち買い手が、情報で優位にある売り手に対抗するには、どうすれば良いのでしょうか。何よりも、私たち買い手の金融リテラシーを高めることが大切です。

今回までの10回にわたる「楽しく学ぶ『お金』の教養講座」を読んでいただいた読者の皆さんは、リテラシーが高まったのではないでしょうか。

米国は「マネー教育先進国」と言われています。早くから、学校教育の場で消費者教育の経験や経済教育が展開されていて、自立を促す実践的な教育カリキュラムが組み込まれています。クレジットシステムの先進国ですので、クレジット教育も盛んに行われています。

たとえば、世界第3位のお金持ちであるウォーレン・バフェットは、6歳の時に小遣い稼ぎでコカコーラを売り歩いたと言います。それが今はコカコーラの大株主ですね。

また、世界的な投資家にジム・ロジャーズがいます。ジョージ・ソロスとともにクォンタム・ファンドを立ち上げて、10年で4200%という信じられないリターンをあげた人です。現在は、シンガポールに在住しているそうです。彼は二人の娘の教育のために、小さい頃に豚の貯金箱をプレゼントし、ベットメイキングのたびにお金を渡し、貯金箱がいっぱいになると、銀行に口座を作り、利子を得た時に口座の明細を示し、お金について教えたと言います。

子供の時からお金の教育を受けていると、簡単には騙されなくなります。一方、日本ではどうでしょう? やっと消費者教育が出発したところで、まだまだ遅れています。ですので、詐欺にあったり、保証人になったりして、お金のトラブルが後を絶ちません。特に、高齢者をターゲットにした詐欺は一向に減りません。

もっとお金の話をしよう

私は「お金の話」が大好きです。なぜなら、お金について考えることは、自分の人生について考えることだからです。

日本人は、お金の話をしていると「汚い」とか、「せこい」とか、「けち臭い」という目で見られがちです。こんな経験もありました。知り合いと食事に行った時、たまたまクレジットカードのポイントの話になったのですが、ポイントが効率的に貯められるカードの話をしたら、言葉にこそしませんでしたが、せこい話という顔で見られてしまいました。

しかし、私はもっと気軽にお金の話をしたいと考えています。
お金の話をすると、お金の情報が増えます。
お金の情報が増えると、得する機会が増えます。
お金の見方も変わって、金融リテラシーがもっと高まります。
そうするとお金に騙される機会も少なくなります。
お金の情報が集まると、お金も集まるので、お金に困らない生活ができるようになります。

「楽しく学ぶ『お金』の教養講座」は本稿で最終となりますが、読者のみなさんと再びお金の話をする機会を楽しみにしております。10回にわたり、お付き合い頂き、本当にありがとうございました。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。