会社四季報活用術
(写真=PIXTA)

株価と利益は連動する

前回の銘柄フォーカス では、会社四季報の「連結事業」を投資に活用する方法をご紹介しました。今回は四季報の本丸?ともいうべき、企業業績の活用方法についてご紹介します。

本題に入る前に、企業業績と株価の関係についておさらいしてみましょう。端的に言えば、企業の利益と株価は中長期的に連動します。そのことをいくつかの事例でみてみましょう。

まず、以下のグラフに示したのは2013年以降の日経平均と1株当たり利益の推移です。日経平均がアベノミクス後に大きく上昇したのはご承知のとおりですが、その影で実は企業の利益が着実に伸びていることがわかります。

ただ、四角で囲んだ2015年の後半からは中国経済の鈍化や原油安、内需の低迷などから企業業績が伸び悩み、1株当たり利益が下方修正されています。1株当たり利益が右肩下がりになるに連れて株価も下落しています。この数年間の日本株の上昇は企業の利益が増えたことに伴うもので、足元の調整は企業の利益が伸び悩んでいるからだと整理できます。

20160407_stocks-focus_1

日経平均という多数の企業の平均を見たところで、今度は個別企業の事例を見てみましょう。

グラフに示したのは、ローソン <2651> ・ファミリーマート <8028> ・ポプラ <7601> というコンビニエンスストア事業を展開する3社の過去10期の営業利益と10年間の株価の推移です。

なお、セブン&アイ・ホールディングス <3382> はコンビニ事業以外にスーパー・百貨店・金融など様々な事業を行っているため比較の対象から外しています。3社の営業利益を見ると、ローソン・ファミリーマートの2社が利益を伸ばしているのに対し、ポプラは直近で営業赤字となるなど厳しい業績となっています。

20160407_stocks-focus_2

今度は3社の株価を見てみましょう。比較しやすいように10年前の株価を100として指数化すると、ローソンとファミリーマートの株価が10年前から大きく上昇しているのに対し、ポプラの株価は10年前から半値以下になっています。

20160407_stocks-focus_3

このように、企業業績と株価は中長期的に見れば非常に連動性が高いといえます。では、将来株価が上昇する可能性が高い銘柄とはどのような銘柄でしょうか?それは、将来今よりもっと利益を稼ぐ(と市場が思う)銘柄です。あの伝説の投資家ウォーレン・バフェットは、株主に宛てた手紙の中で以下のように記しています。

投資家の目的は、簡単に理解できる事業を行っていて、5年・10年・20年後に今よりもっと利益を稼いでいる企業の株式を適切な価格で買うことである。
(出所)1996年「株主への手紙」より筆者が和訳