欧州経済見通し,景気拡大,政治的緊張
(写真=PIXTA)

要旨

◆ユーロ圏では、内需主導の緩やかな拡大が続いているが、国ごとの方向や水準、ピッチのばらつきも目立つ。

◆16年の実質GDPは1.6%と予測する。個人消費は、低インフレによる実質所得押し上げ効果は徐々に剥落するが、雇用所得環境の改善が続き、緩やかなに拡大がしよう。著しく緩和的な金融環境は設備投資の追い風となろう。

◆ECBの追加緩和の余地は、すでに踏み込んだ緩和を実施している上に副作用の懸念もあり、狭まっている。16年の財政政策は全体ではやや拡張的だが、南欧、フランスなど経済や雇用情勢が厳しい国ほど財政政策の制約が強い。ユーロ圏は構造的に金融政策に負荷がかかりやすい。

◆国毎に景気の位相は様々だが、国民の既存の政治に対する不満の高まりは広く共通する傾向だ。各国の選挙では、主流派政党の支持が低下、反緊縮や反EU・反移民など従来の政策路線を否定する政治勢力に支持が広がる傾向が鮮明になっている。

ギリシャを除き、政局の変化が経済活動に大きな影響を及ぼしたケースはないが、今後、6月23日の英国の国民投票など大国で重要な政治イベントが相次ぎ、その結果の重みは増す。

53101_ext_15_0