2016年、VR(Virtual Reality)がいよいよ盛り上がりそうだ。VRとは、ご存知の通り仮想現実のこと。HMD(Head Mounted Display)と呼ばれるオーディオ用ヘッドホンを一回り大きくしたような、ゴーグル型の大きなディスプレーを装着すれば、目の前に現れる現実感たっぶりの映像や音響を楽しめる。利用者は眼前いっぱいに繰り広げられるリアルこの上ない仮想世界に没入できる。

スポーツ×VRの実はとても良い相性

そのVRだが、近年ハードとソフト、両面の技術的な環境が整備されたことにより、さまざまな分野で実用化が加速している。コンサート会場の熱狂を体感できるバーチャルライブ、世界の秘境を探求できるバーチャル旅行、高度な外科手術を現場さながらにシミュレーションできるバーチャル手術など、さまざまな分野でいま、「VRの花」が咲きつつあるといえるだろう。

スポーツ分野も例外ではない。特に、スポーツは、VIP席にいるような満足感を味わえる観客として、選手の視点や動きを追体験できる擬似体験ツールとして、VR活用に革新的な芽吹きが起こりつつある。臨場感が大きな魅力であるスポーツでは、VRとは相性はよいということだろう。今回はこの、スポーツ分野に絞って、VRの先進的な取り組みを紹介したい。

VR動画中心のサッカーメディア「サカチャン」登場!

VRの活用が進んでいるスポーツ分野のひとつが、サッカーだ。サッカーに特化した動画コンテンツを取材・編集・配信している「サカチャン」では、現在Jリーグのサッカーチームの練習風景を中心に、臨場感ある映像をコンテンツとして提供している。

中でも注目はVR技術を活用した有名選手の練習風景。現在「中村俊輔のフリーキックを壁になって疑似体験しよう!」、「齋藤学のドリブルシュートをDF視点で疑似体験しよう!」などが信中だ。まるで自分が練習場のグラウンドに立っているような360度を見渡せる視野で、一流選手の目線でプレーを追体験できる。しかも、VRコンテンツはインターネットで提供されるので、専用のディバイスも必要ない。

他方で、サッカーファンはもちろんのこと、多くのサッカー少年にとっても、こうしたVRコンテンツは嬉しい。憧れのサッカー選手が、グラウンドでどのような練習を行い、どのような足さばきをしたりボールのキックをしたりしているのかわかるので、上達のためのこの上ない教材となることだろう。

今後VRの活用が進んでいけば、ロッカー室や、グラウンドまでの通路、あるいはVIP席から見た試合の様子、さらに試合中の選手の視点などを提供できる可能性ももちろんあり、そうした活用方法の動向も注目だ。

すでにナイキのCMでは、ブラジル代表ネイマール選手の視点で試合を体験できるVR広告をYoutubeで公開している。そのままでも閲覧できるが、Google Cardboardなどの専用のHMDを装着すれば、下を向くとネイマールの足さばきが、正面を向けば迫り来る相手選手の動きなどを、まさにネイマール選手になりきって体験することができるといった魅力もある。

野球だって負けてない!ベイスターズ球場をVRで体験

VRの活用を目指すスポーツはサッカーだけではない。代表的な別の、VRの活用に取り組むスポーツといえば、やはり、野球だろう。サッカーに対抗できる人気スポーツの一つとしても、VRにどのように向き合っているのか、興味深いところだ。

プロ野球の世界で、VRの活用に積極的なのが、横浜DeNAベイスターズ。横浜スタジアムのコンコースには、360度映像コンテンツをVRで体験できるブースがあり、近未来的な回り椅子にスッポリと身体を沈めてHMDを装着すると、くるくると回りながら360度の映像コンテンツを楽しむことができる。映像の内容は、人気選手のブルペンでの様子や、選手のフリー打撃、試合前のシートノックなどで、一般の目に触れない、プロ野球選手の視点を垣間見られる。

ベイスターズのVRは予想以上の人気で、VIP席であるスカイバーカウンターでは無償でHMDを貸し出し、ついにはHMDの横浜DeNAベイスターズ限定モデルも発売するなどの盛況ぶりだという。

今後、全選手の練習風景や、ロッカールームや選手寮などの様子など、普段テレビや観客席などからは見えない選手たちの素の顔を見ることのできれば、ファンにとってより嬉しい映像コンテンツに成長していくだろう。

ゆくゆくはスター選手気分でプレーに参加!?

アメリカではすでに、自宅に居ながらにしてリアルタイムでサッカー、テニスなどを観戦できるアプリが登場。まるでVIP個室の一番見晴らしのいい場所から360度の視野で臨場感たっぷりのスポーツを眺めることができるという具合だ。さらに別のアングルやリプレイ、スローモーション、各種統計情報なども自在に視聴することができるという。

こうした流れは、今後さまざまなスポーツジャンルに広がっていくだろう。ゆくゆくは試合中に観客席でもテレビカメラでもなく、自分の好きな選手の視点で、まるで自分がプレイヤーになった気分で試合を楽しむことも夢ではない。

VR元年といわれる2016年。新しいエンターテイメントとして、スポーツビューイングの世界に新風を巻き起こす「スポーツ×VR」のこれからに、大いに期待したい。(ZUU online 編集部)

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