わかもと製薬、新薬開発が頼みの綱

それでは、高PERランキングから、わかもと製薬、木曽路、名村造船所を取り上げてみたい。

わかもと製薬は東京・日本橋に本社を置く製薬会社。一般用医薬品の胃腸薬「強力わかもと」は外国人訪日客から人気が高い。

売上高の約半分を占める主力事業の医療用医薬品は、アレルギー性結膜炎治療剤「ゼペリン点眼液」など眼科領域が主戦場。わかもと製薬は今期(2017年3月期)は後発品参入により売り上げが伸び悩むと予想している。

同社のWebページに掲載されている2014年公表の中期経営計画では、2016年度営業利益を2億7000万円と見積もっていた。しかし、今年発表した決算は8300万円にとどまった。

業績の低迷に比べると株価の下げはマイルドだったが、最近は2013年以来の水準である220円台まで値を下げた。株価反転には、2021年上市予定の緑内障治療薬WP-1303が頼みの綱となりそうだ。

木曽路、牛肉銘柄偽装で業績低迷続く

木曽路は名古屋市に本社を置き、同名のしゃぶしゃぶ店などを運営する外食企業である。

2014年に一部店舗で「松阪牛」などと銘柄を偽って牛肉を提供したことが明らかとなり、客足が後退した。営業利益の減少により、前期(2016年3月期)まで当期損益は2期連続の赤字だった。2016年3月には業績低迷により社長が事実上の引責辞任をし、会長の吉江源之氏が社長を兼務している。

2017年3月期の連結業績は増収・営業増益。当期損益は黒字転換を見込む。主力の「木曽路」のサイドメニュー強化や不振業態の見直しで乗り切る構えだ。

株価は高PERに加え、PBR2倍超と割安感がない中で一時2359円(14日ザラバ高値)まで上昇、2006年1月の上場来高値(2455円)以来の高水準で推移している。何らかの特殊要因により、意図的な買いが入っている可能性がある。

名村造船所、生き残りを優先し積極受注

名村造船所は大阪市に本社を置く造船準大手。函館どつく、佐世保重工業を傘下に持つ。

2017年3月期の当期利益が1億円と、前期(2016年3月期)の73億円から急減する見通し。新造船の受注価格が低水準で、円高が進んだことで採算も悪化する見通しである。

名村造船所は5月に前期決算を発表した際、今期の業績見通しについて「生き残りを図るため積極的に受注し、工事損失引当金の計上も見込まれる」と公表している。

しかし、円高が進む限り、採算悪化は避けられないようだ。今期見通しを発表してから売りが優勢となり、株価は従来の800円台から500円割れの水準まで下落した。ただ、円高に応じて株価が下げてきたため、足元で円相場が1ドル=105円台まで軟化した局面では見直し買いも入り、株価は500円台半ばまで戻している。(ZUU online 編集部)