「移動の自由」だけにとどまらず、「生活の自由」を
現在30万人弱の移民がドイツ国内で雇用口を探しているが、74%が職業訓練を受けた経験がなく、15%が義務教育すら終了していない。すべてのデータが記録されているわけではないと想定した場合、ほかにも何千万人もの移民が、企業が「必要最低限」と定める教育水準に達していないことになる。
また多くの企業がコスト削減を余技なくされ、人員整理に乗りだしている現状は、ドイツも例外ではない。
そうなれば企業にとっては、すでに求める知識や経験をもっている人材を雇用するのが自然な流れであり、移民に時間とコストをかけ、実践力につながるか判断するといった余裕がないのは当然だろう。
「移動の自由」をEUの基本概念とし、無制限に移民を受け入れるアンゲラ・メルケル首相の政策には、実質的な解決策が欠けているような気がしてならない。
受け入れるだけでは、根本的な問題は解決しない。自国を抱えきれないほどの人間で圧迫し、受け入れる側も受け入れられた側も、成すすべがなく途方に暮れる。
衣服住に困らないという、人間にとって最低限の生活が保障されることは、非常に重要な意味を持つ。しかし人間には、第三者によって永遠に保護されるのではなく、生活を自らの手で築いていくという、生まれながらの本能が備わっているはずだ。
移民の子供たちに、熱心な教育をほどこす受け入れ国は多い。しかしその子供たちの親の世代の多くも、家族を養っていくための教育を必要としている。
「移動の自由」を放棄してEUを離脱する英国に批判的なドイツだが、「生活の自由」というレベルには達していないのではないだろうか。(ZUU online 編集部)
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