忍び寄る不良債権拡大の影

業績不振を理由に事業をデジタル化し、大量リストラを行っている大手はほかにも多数ある。

バンカメ以上に好調な第2四半期を迎えたJPモルガン・チェースやシティバンクも、近年はリストラに次ぐリストラで、事業の効率化を実践している。

JPモルガンは第2四半期、収益を24%押し上げて市場を驚かせた。1株当たりの利益は、予想を0.12ポイント上回る1.55ドル(約164円)。株価は2%増で64.30ドル(約6820円)。

その一方で第2四半期中の5月には、プライベートバンク部門で約100人のリストラを発表するなど、コスト削減にも余念がない。

JPモルガンやバンカメが、直近の成功を手放しで喜べない不安要因の一つは、抱えている不良債権による損失が拡大傾向にあることだ。JPモルガンはわずか3カ月間で、9億3500万ドルから14億ドル(約991億7545万円から1484億9800万円)に、バンカメは25%増で9億7600万ドル(約1035億2432万円)にまで膨れあがっている。

ほとんどがエネルギー企業への融資だが、今後はほかのセクターにも飛び火し、状況はますます悪化するのではないかという見方が強まっている。

こうした例を含め、多くの銀行が常に「成功と危機の背中合わせ」感を発しながら、利益をあげるために手探りで事業改革を進めている。

Brexitの波紋が世界中に広がりを見せている今、FEDが年内に追加利上げを実施する可能性はゼロに近いといわれている。そうなれば、大手銀行による新たな大量リストラの記事が、新聞の紙面をにぎわすのかも知れない。(ZUU online 編集部)

【オススメ記事 PR】
「従業員からの支持率が高いCEOランキング」
世界の15歳調査、お金のリテラシーが一番あるのは「中国」
トップ企業は時給7000円超 「上場企業の時給ランキング2017」
「長く快適に働ける」企業トップ20 1位の企業「転職は厳しい」の声も
お金を稼ぐには地理を学べ 代ゼミの名物地理講師が説く「経済を地理から学ぶべき」理由