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(写真=PIXTA)

不動産による収入が一定額を超える場合は、管理会社を設立する方がいいと聞いたことがある人も多いのではないだろうか。その目的は主に節税対策とされるが、どんな効果が実際に得られるのか?よくわからない人も多いだろう。そもそも管理会社とは、オーナーの持つ不動産物件の保有や管理を行うもので、会社の設立には手間も費用もかかる。そのため、一般的には不動産収入が2,000万円程度になると節税効果が得られるとされる。そこで、収入2,000万円という事例でそのメリットを検証したい。

管理会社設立のメリット5つ

1. 給与所得控除が適用できる

給与所得には控除がある。仮に給与収入が1,200万円超ならば230万円の給与所得控除(2016年)となり、給与所得は970万円に抑えられる。

2. 福利厚生の充実

福利厚生費は基本的に経費になるため、節税効果を得ながら福利厚生の拡充が可能となる。具体的には以下のような項目が経費勘定で利用できる。

● 小規企業共済
主に退職金を準備するための共済だ。払い込み時に全額経費となるだけでなく、受け取り時も節税効果がある。分割受け取りならば公的年金として扱われ、一括受け取りならば退職所得控除が適用となる。

● 経営セーフティ共済(倒産防止共済)
無担保、無保証人で貸し付けが受けられる。通常の貸し付けの他、取引先が倒産した場合の貸し付けは必要度が高いので安心だ。こちらも全額経費となる。

● 保険加入できる
役員や法人として保険に加入できる。掛け金は貯蓄性が高い場合、資産として扱われることもあるが、掛け捨て部分は原則経費だ。また、途中解約はかえって損になる場合もある。加入の目的をはっきりさせ、保険料が総額でいくらになるのか、払い続けることが出来るのかなどもしっかり見極めた上で、福利厚生・節税効果を得たい。

これらは経費拡充による節税効果と、退職金の積み立てや保険の加入による事業リスクの担保としての効果も得られる。

3. 適用税率が下がる可能性

個人事業主の場合、税率は超過累進課税といい、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みだ。4,000万円超の場合、税率は45%にも上る。一方、法人税の税率はほぼ一定となる。企業の規模や法人区分によって異なるが、中小企業ならば年800万円以下の収益に対しては19%、800万円超の部分に対しては23.4%と決まっている。

4. 法人特有のメリット

法人と個人事業主との違いは他にもある。例えば青色申告の損失繰越金控除期間は個人事業主だと3年間だが、法人の場合は9年間(平成29年4月1日以後に事業開始ならば10年)となる。

他にも離れた物件を所有している場合、旅費規程を作成し、旅費を出張費として節税することもできる。

5. 相続対策にもなる

管理会社設立により、相続対策としても活用できる。「2.」の福利厚生の充実で既述したように、小規模企業共済や中小企業倒産防止共済は、退職金として利用可能だ。これを相続税の納税資金として活用することもできる。自分で積み立てをせずとも資金が用意できるのも魅力だ。また、家族を管理会社の役員や株主にすれば資産分散にもなる。