専業主婦でも退職金を受け取れるのをご存知ですか? 2017年1月から確定拠出年金の制度が改正されて、専業主婦でも利用できるようになります。確定拠出年金は、専業主婦でも「退職金控除」が使え、有利な運用が可能です。

自分で「老後資金を貯める」確定拠出年金

読者のみなさんは、公的年金はご存知ですよね。公的年金は専業主婦でも、ご主人の給料から引かれています。また、国が半分のお金を負担するのが、公的年金です。

ちなみに、私たちが公的年金に支払っているお金は、現在の高齢者の年金として支給されています。私たちが年金を支給される頃は、さらに若い人たちが払っているお金が原資になります。これを社会保険方式といいます。

これに対して、確定拠出年金は「自分たちが拠出したお金」を運用して、それを年金として受け取るものです。言い換えれば、自分の老後資金を「自分で用意する」制度といえるでしょう。

国としては、現在の年金制度は限界だから「自分たちで何とかしてください」「その代わり税制の特典はいっぱいつけますよ」ということなのでしょう。国の年金制度があてにできない以上、確定拠出年金のメリットを活かして、自分で防衛するしかありません。

確定拠出年金の3つのメリットとは

確定拠出年金には、大きく分けて「3つのメリット」があります。

(1) 掛金が全額所得控除になります。
(2) 運用益が非課税で再投資されます。
(3) 受け取るときも税制優遇措置があります。

ただし、専業主婦については、上記(1)は税金を支払っていないので、対象外となります。

(2)はNISA(少額投資非課税制度)と同じです。NISAは5年間だけですが、確定拠出年金はずっと続きます。

確定拠出年金が、NISAより有利なのは、販売手数料が安い点です。

通常、投資信託を購入するときは、販売手数料が必要です。金融機関、商品などで異なりますが、0〜4%です。アクティブファンドなどは3%が多いです。インデックスファンド、ETFなどは1%前後が多いですね。キャンペーンで販売手数料が0円もあります。ネット証券でも0円の商品が多いですね。

しかし、確定拠出年金の商品は、すべての販売手数料が無料です。

また、投資信託を管理・運用するためには「信託報酬」も0.1〜3%必要です。信託報酬は毎年かかってくるコストなのでできるだけ安いに越したことはありません。金融機関の窓口で販売しているものと、確定拠出年金の商品が同じものでも、確定拠出年金のほうが信託報酬の安い場合もあります。

同じ商品で運用するのでしたら、確定拠出年金のほうがメリットが大きいですよね。

退職金控除を使うと「税金がゼロ」になる

次に上記(3)の「受け取るときの税制優遇処置」について解説しましょう。

(3)は老後資金の積み立て、専業主婦の退職金として大きな味方になります。具体的には、確定拠出年金を一時金で受け取った場合、所得税がかかりますが、退職金控除を使うと税金がかかりません。

退職金控除額は、20年以下は(40万円×勤続年数)。20年超の場合は(800万円+70万円×(勤続年数-20年)で計算をします。

この勤続年数とは、確定拠出年金の拠出した年数になります。専業主婦の場合、掛金の限度額が2万3000円ですので、一時金で受け取ったとしても税金はかかりません。一時金ではなく、年金として受け取ることもでき、その場合も公的年金控除があるので有利です。

離婚した場合はどうなるの?

気になるのは、専業主婦が離婚した場合です。国民年金部分は自分の年金ですが、夫の厚生年金部分の半分を受け取ることができます。ただし、半分といっても夫の比例報酬部分の婚姻期間の割合でかけた金額だけです。全額の半分というわけではありません。

専業主婦は、自分では年金を払っていないので老齢基礎年金だけになります。満額の場合でも年間78万円です。老齢基礎年金の平均の受け取り額は、年額66万円ですので、月額5万5000円になります。これでは、ちょっと少ないですね。

万が一、離婚しても安心した老後を過ごすためには「自分自身のための」老後資金の準備が必要です。そのような不測の事態のためにも、確定拠出年金は最適といえるでしょう。