自分ごとにさせる

さていよいよこちらが喋る番だ。何を話すか。「仕事とは」「社会人とは」とあるべき姿を説くのは無意味だ。周囲への迷惑を考慮せず、自分の都合で動くような人間には響かない。彼らは食いつくのは、リスクやメリットの話だ。
そもそも、注意を受けても問題社員が変わらないのは、自分が困ると思っていないからである。仕事をサボってのスマホ、ミスの繰り返し。これを続けているとどんなリスクがあるか、多くの問題社員は把握出来ていない。考えの甘さが原因だが、それを言っても仕方ない。こちらで、このままでいるリスクと、行動を変えるメリットを明確にして教える方が早い。

「小人は利に諭る」(器の小さい人間は、利益に敏感だ)という孔子の言葉を頭に入れておきたい。

変わり方が分からないケースもある

問題社員が成長しない理由はもう1つ考えられる。どうやって変わればいいか分からないのだ。この場合、変わりたくても変われず、気付けば問題児扱いされているので、本人も不本意だし辛いはずだ。

いわゆるPDCAを自分で回せない人は、特に若い世代に多い。これは、あまり人と競争することなく育ってきた弊害だが、出来ないなら育てるしかない。まずは行動計画を提案し、挫けず行動できるようサポートすれば、徐々に成長していくはずだ。

習慣を変えるのは大変

とはいえ、ここまでしたからといって、すぐに変わってくれるとは限らない。人は習慣の生き物と言われるが、問題社員の問題行動も、本人にとっては自然とやっている習慣である。

習慣を変えるには、「意識して行動を変える」を繰り返し、新たな良い習慣を作るしかないが、これにはある程度の時間がかかる。それまでは、つい元の癖が出てしまうものだ。「何度も言わせるな」と腹を立てず、こちらも繰り返し伝えていく心構えでいるのが望ましい。

腹を立ててぶつかってもストレス。成長を促しても我慢の連続でストレス。実際のところ、問題社員がいれば、どちらを選んでもストレスは溜まる。それでも、問題社員が成長すればストレスは減るので、後者を選ぶ方が建設的だと私は思う。しっかりと自身のストレスケアをしながら、問題社員と上手に付き合ってみてはいかがだろうか。

藤田大介 DF心理相談所 代表心理カウンセラー この筆者の記事一覧

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