日本人勢のメダルラッシュで盛り上がりをリオオリンピック。そして盛り上がる東京オリンピック・パラリンピックへの準備と期待。オリンピックは依然としてサッカー・ワールドカップと並ぶ世界最大のイベントだ。だがこれに水を差す事件が起こっている。

オリンピック選手でさえツイートは禁止?

米国オリンピック委員会(USOC)は開幕したリオオリンピックの開催前に、オリンピックにまつわる企業のソーシャルメディア投稿を禁止したと報じられた。

一部選手のスポンサー企業などに宛てた通知では、ゲームの結果をつぶやいたり、IOCなどの公式アカウントの発言をリツイート、シェアしたりすることも禁じたという。オリンピックなどの用語やハッシュタグはUSOCが米国で商標登録(ちなみに「Tokyo2020」も商標登録されている)。

選手を応援するツイートなどでこれらのガイドラインに抵触すると、最悪ではメダルはく奪もある、と警告されている。これに選手の一部が猛反発し、有名選手の批判ツイートなども飛びかった。7種競技のケリー・サザートン選手は「自分のスポンサーから『グッド・ラック』と言われただけで失格するかもしれなくて、薬物使用はOKなのか?」と皮肉交じりでツイートしたほどだ。

公式スポンサーの権利はもっともだが……

オリンピックの公式スポンサー契約は数百億円単位といわれて、開催までの複数年契約だと数千億円にのぼる。当然そのような高額なスポンサー料を払えるのは、コカ・コーラやマクドナルド、VISAなど世界的な大企業に限られている。

これらのスポンサー企業は基本的には1業種1社に限られており、オリンピックの商標である名称やロゴの使用はもちろん、それらを連想させる広告やマーケティング活動で独占的に使用する権利を持っている。東京オリンピックも同様に、非公式企業の便乗商法への対応は非常に厳しい。

東京五輪組織委員会の方針によると、東京2020大会におけるスポンサーは、オリンピック・パラリンピックに関する商標やロゴの知的財産の使用権の見返りとして、多額の協賛金を拠出しており、この資金が、大会の安定的な運営及び日本代表選手団の選手強化における大きな財源となっている。

オリンピック・パラリンピックマークなどの無断使用、不正使用ないし流用は「アンブッシュ・マーケティング」と呼ばれ、IOC、IPC等の知的財産権を侵害するばかりでなく、スポンサーからの協賛金などの減収を招き、大会の運営や選手強化等にも重大な支障をきたす可能性がある--としている。