ゴジラ,保険,災害,ローン,マイホーム
(写真=PIXTA)

日本での制作としては12年ぶりとなったゴジラシリーズの最新作『シン・ゴジラ』。

近年、大型災害が相次いでいる日本にとって、「ゴジラのような巨大生物に被害を受けたら、一体どう対応すればいいのか」という問いは、よりリアリティが増しているのではないだろうか。ゴジラがいとも簡単に都会のビルや建物を壊していく様を見ていると、「これが現実だったら…」と思わず考えられずにはいられない。

もし仮にゴジラのような巨大生物が首都圏に現れた場合、破壊されてしまった建物に保険はおりるのだろうか。また自分の家が壊されたらローンはどうなるのだろうか。映画を観ながらふとそんなことを考えてしまった人もいるかもしれない。「実際にはあり得ない」とは思わず、同じような被害があったらと仮定して考えてみたい。

ゴジラは隕石の被害に相当する?

『シン・ゴジラ』では、都内港南地区から神奈川県にかけての広範囲でゴジラによる襲撃を受ける。ゴジラのような生物が、このように首都圏で大暴れしたら相当な被害が予想されるが、実際に同じ規模の災害などが起きるとすれば、何に相当するのだろうか。現実的に近いのは、隕石の落下や飛行機の墜落などの大災害と考えられる。

当然ゴジラのような巨大生物の破壊行為に対応する保険は現実には存在しないが、もし保険が適用されるとすれば、物体の衝突や壊された建物の一部などが飛来して受ける被害に対してだろう。その場合、どの程度保険がおりる可能性があるのだろうか。

「物体の落下・飛来・衝突」に該当すれば保険はおりる可能性あり

まず、火災保険の基本補償の内容を確認してみよう。火災保険で補償されるのは、「火災・落雷・破裂・爆発」「風災・ひょう災・雪災」「水災・水濡れ」「物体の落下・飛来・衝突」「盗難・盗難による破損」「騒じょう・集団行動などによる破壊」「偶然な事故による破損」などがある。

このうち、飛行機の墜落や隕石の落下などは「物体の落下・飛来・衝突」に含まれるとされる。これと同じように考えられるとすれば、ゴジラという「物体」が住宅に衝突して壊したり、破壊した建物の一部などが飛来して住宅を壊したりした場合、それが適用される可能性がある。もしくは、「偶然な事故による破損」として適用されるかもしれない。

ただ保険には免責事由が定められており、火災保険では基本的に、天変地異による災害や戦争などの騒乱には保険が適用されないことになっている。天変地異とは具体的には、地震、噴火もしくはこれらによる津波だ。単純に考えればゴジラがこれら天変地異に当てはまることはないが、戦争はどうだろうか。もしゴジラという巨大生物との戦争と捉えられれば、免責事由として当てはまる可能性はある。また、仮にゴジラが破壊行為を目的として特定の人物や国家による戦争兵器として使用された場合、「偶然な破損」とはならず、保険は適用されない。

ちなみに、『シン・ゴジラ』ではゴジラが襲撃した地域に放射性物質による汚染が生じている。これは、ゴジラの体内に原子炉のような器官が備わっているためとされているが、このような被害は火災保険では適用外だ。また、もしゴジラが海で暴れて津波が発生し、住宅が被害を受けた場合はどうなるのだろうか。火災保険の「水災・水濡れ」では、津波は水災の定義に当てはまらない。

それでは地震保険はどうか。地震保険の場合、「地震等を直接、または間接の原因とする損害に対して保険金が支払われる」とあるため、こちらも該当しない。となると、ゴジラが原因の津波の被害にはいずれの損害保険も支払われないと考えられるだろう。ゴジラだけでなく、隕石の落下による津波や他の巨大生物による被害も同様となるはずだ。