日本経済研究センターが平成25年5月22日に「成長を呼び込む税制改革提言」を発表しました。少々乱暴ですが、主な内容をまとめると「20年までに実効税率をアジア諸国と同程度の25%まで引き下げる」「消費税を12%まで引き上げ」「固定資産税を拡大する」「研究開発促進税制の~対象範囲を見直すべき」ということです。日本経済研究センターの提言では「30年の実質国内総生産(GDP)は減税のない場合に比べ約8%、50兆円高まる」と謳っています。
法人税率の引き下げには賛成です。日本の人口が減少していく中で、法人は増やしやすいからです。個人となると移民問題や出生率の問題が絡んできてしまい、どうしても時間がかかってしまいます。しかし、法人にはそのような問題がありません。税率が高いか低いか、投資をしやすいかしにくいかという比較的シンプルな問題に集約されると考えています。法人税率の引き下げが行われれば、利益を出している企業ほど、日本に本社を置こうとし、結果的に法人税収がアップするということも期待できます。法人税率を引き下げるならば、数%程度の引き下げではなく、日本経済研究センターが言うように10%程度の大幅な引き下げが必要です。しかも2020年までとは言わずに遅くとも3年程度で10%程度の減税を実行し、併せて国有資産の整理をし、一時的な税収の落ち込みをカバーする体制を作るべきだと考えます。
他の方法があるとすれば、税収以外に国が稼ぐこと、および国家予算の見直し(削減)を、目標を決めて行うことです。法人税率引き下げのために個人課税を強化するべきという意見がしばしば見られますが、今度は個人が海外へ流出してしまうという問題が起こるかもしれません。これでは、いくら法人減税を行ったところで、日本に居住する魅力というものがなくなってしまいます。法人減税・個人増税を既定路線とするのではなく、法人減税は法人数の増加でカバーさらに税収増にまでつなげ、そして個人減税という高い目標を持つべきでしょう。
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