スイスのビジネススクールである国際経営開発協会(IMD)が5月22日に「2014年世界競争力年間」を発表しました。この発表によると日本は総合順位で21位となり、前年よりも3つ順位を上げています。なお、1位2位は前年と変わらずアメリカ合衆国(1位)、スイス(2位)となっており、3位にシンガポール(前年5位)がつけています。なお、IMDでは「グローバル企業にとっての企業の力を保つ環境を創出・維持する環境が整っているか」という視点で国際競争力を計っています。
日本の国際競争力が上昇したことは喜ばしいことですが、為替レートや観光収入、サービスの輸出が伸びたことが主因です。さらに上位を目指すには今までのような金融政策や円安による効果だけではかなり難しいのではないでしょうか。
最近では日本・オーストラリア経済連携協定に大筋合意、公的年金の運用方針の見直しなどが話題となっています。2013年5月に発表された成長戦略では日本産業再興プラン(国家戦略特区の創設等)、戦略市場創造プラン(医療・クリーンエネルギー・次世代インフラ・農林水産など地域資源への政策集中投入)、国際展開戦略(インフラシステムの輸出等)という3つのプランを打ち立てていました。太陽光発電の急拡大、鉄道や病院の輸出決定など、それなりの効果もあります。ただ、まだまだその効果は小さく決定打に欠けるといえる状況ではないでしょうか。当初発表されていた内容よりも修正されてしまっている戦略などもあります。
アメリカがIMDのランキングで上位に居られるのは、力強い経済力とこれを裏付ける優れた技術とインフラがあるからです。これから日本がさらに国際競争力を付けるためには、法人税率を短期で大幅に下げる、人口維持・増加のために移民受け入れを迅速に行うなど、「日本が変わっている」という大きなインパクトを与える一方、日本の良き文化を守り継承していく体制を作り、日本の魅力を高め、優秀な人材、企業を呼び込むことが必要だと考えています。日本のサービスや技術は世界でも称賛されていますが、コカ・コーラやGMのようなアメリカ企業のように、世界的に有名な日本企業はまだまだ少ないです。6月にも発表される第二次安倍内閣の新成長戦略がどのような内容になるのか期待したいところです。
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