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いよいよ4月1日から予定どおり消費税率が8%へと増税されました。日銀・黒田総裁はこの増税の影響は軽微としており、マスコミの論調も現政権を支えるものが多くなっていますが、それとは裏腹に消費者心理はかなり冷え込み始めており、実態経済への影響が懸念される状況となっており、シンクタンクの各種試算などでも将来的に消費の落ち込みが懸念されるような数字が発表されるようになっており、その影響が懸念される状況です。

この経済状況をアベノミクスが乗り切れなければ、またデフレへ逆戻りとなる、きわめて重要な局面になってきているといえます。


全世帯で2011年に比べ2016年で7%以上の可処分所得減少

大和総研が昨年発表した世帯構成、年収別にみた消費増税等の家計への影響試算によりますと 、 震災でもっとも経済が落ち込んだ2011年に比べ増税後の2016年の家計を比較した場合、年収のレベルに係わらず全ての世帯構成と収入のケースで実質化処分所得が5年の期間で見たときに7%以上減少するケースが多く、個人消費を本格的に圧迫するのはまだまだこれからのことであることを強く示唆する内容となっています。最終的には5%の増税となる消費税ですが、可処分所得のレベルでみた場合には、それを超える率の所得減少が現実のものとなるわけで、年収1000万円以上の家計では減少率は同じでも金額ベースではかなり大きな減少となってくるため、個人消費への影響が懸念される状況となっています。特に直近での経済状況の底と思われていた2011年を下回る可処分所得状況への落ち込みというのは見逃すことのできないものといえます。


同じ世帯年収1000万でも共働きがお得になるアベノミクス政策

現政権が打ち出している税制の政策では、女性の就労支援なども前面に打ち出していることから、全ての税金は世帯単位ではなく個人単位での徴収にシフトするようになっており、給与所得から差し引かれる控除も減少しつつあるため、同じ1000万円の世帯年収であっても世帯主だけが働いて1000万円を実現するのと夫婦共働きで合算して1000万円になるのとではかなり税負担が異なることになってきているのです。

2014年ベースで考えても、同じ世帯年収1000万円でありながらこの二つのケースの実質化処分所得は60万円以上異なることがわかってきており、片働き世帯はかなり不利になっていることがわかります。これには、各種手当てや補助金の所得制限も今頃になって大きな影響を与えるようになっていることもあげられます。民主党政権下で実施となった児童手当はすでに所得制限で年収960万円を超える世帯では月1万円から5000円へと減額がされていますし、鳴り物入りでスタートしたはずの高校無償化も今年度から見直しがスタートすることとなり、この時期に高校生を持つ家庭では負担増がさらに進むことになるのです。

まだ少し先の話ではありますが、税制改正により2017年度から年収1000万円を超える給与所得者の給与所得控除額も縮減することとなるため、年収1000万円前後の世帯があらゆる負担を増加させられることとなるのは明白な状況となってきているのです。