さらに二極分化の進む所得格差
消費税はもともと逆進性が高く、日本のように食品や最寄り品にも一律課税される税体系の中では低所得者に負担が大きくなるとされてきましたが、どうやら年収1000万円世帯でもかなりその影響を受けることになるのが今回の消費増税といえそうで、うかうかしていると低所得者のほうの仲間に近いのが世帯年収1000万ということになりかねない状況です。
こうした状況は、累進性が高まるレベルの年収2500万円以上の世帯では、もともと税制上優遇されてきた部分が少ないだけに消費増税は単純にその分だけ増税となっていくことから、まさに逆進性の象徴として高額品を積極的に購入しない限りは大きな影響を受けないことになりますが、それ以下の世帯では手当てや控除の減少との相乗効果により予想以上に可処分所得を減らすこととなり、それが中期のスパンで減少傾向をたどることが大きく危惧される状況となってきています。特に、比較的富裕層と思われてきた年収1000万円の層に負担が集中して可処分所得を大きく下げることになるのは見逃せない事態です。
所得の落ち込みは個人投資でまかなう頭脳プレーの所得確保・倍増時代到来
昨年1年間はアベノミクスによる脱デフレ政策と、日銀の量的金融緩和政策という国策にのってヘッジファンドを中心といた海外投資筋が実に15兆円以上の日本株を進め、そのヘッジとしてドル円も買い進めてきたため、日経平均株価は実に前政権末期から6割近くの上昇を果たし、ドル円も21%の上昇となったことから、長らく塩漬けとなっていた現物株を売り抜けられた個人投資家も多かったことと思いますが、日経平均の株高もドル円の上昇も恩恵にあずかったのは一部の海外系ヘッジファンドと証拠金取引を行ういわばセミプロの個人投資家だけで、金融市場で積極的な投資を行わない世帯は給与所得が高くても、必ずしもこうした時期に金融資産を増やすことができていない点も気になるところです。 内閣府が発表している消費者態度指数2月の調査結果は38.3で、この数字は安部政権の発足当時を既に下回っていることから、一般的な消費者の購買意欲はアベノミクスから1年を経ても上昇していないことがわかりますし、4月に発表された日銀短観では将来の景気動向に対する落ち込み予想がかなり激しく、産業界では消費増税の影響を国や日銀よりもさらに深刻に受け止めていることがわかります。
当座の施策としてベアを上昇させた大手企業も多くなっていますが、今後大きく給与所得が上昇していくことは考えにくい状況で、こうした国の税収政策から可処分所得が減少する中にあっては、個人投資で自らの資産を守り、増やしていくことを真剣に考える時代がやってきているといえます。年収1000万円世帯といえども、今後どのようにリスク資産を増やし、自らの所得と資産を増加させていくかについて真剣に考える時期がやってきていることだけは間違いないようで、給与所得だけに依存しない幅広い投資の考え方が求められる時代となりそうです。
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