世界中でランサムが猛威をふるう中、脅迫にビットコインを利用するケースが急増していることが、複数のメディアの報道から明らかになった。
最新の調査からは感染経路の99%がスパムメールであること、被害者のターゲットが個人から企業や組織に移行し、犯罪が大型化傾向にあることなどが判明。重要書類や顧客の個人情報、患者のカルテといった、盗難や損失によって大きな被害が予測される「人質」をロックされるケースが続出している。
感染速度0.5秒で、過去1年間に被害総額が187億円増加
添付ファイルやウェブサイトを観覧するだけで、即時に感染してしまうという恐ろしい最新コンピューターウィルス、ランサム。
連邦捜査局(FBI)の捜査によると、今年1月から3月だけでも、総額2億900万ドル(約210億7347万円)、1件につき平均33万3000ドル(約3358万円)の被害が報告されており、昨年1年間の被害と比較すると、総額1億8500万ドル(約186億5355万円)、1件平均32万3000ドル(約3257万円)も増加していることになる。
日本における1月から3月までの被害件数は8300件(情報:Trend MICRO)。昨年10月から12月から、一気に4800件増えている。
マイクロオフィスやノートンを筆頭とする大手IT、セキュリティー関連会社が効果的な対策を講じるとともに、消費者に脅威の存在を強く呼びかけているにも関わらず、被害は広がるばかりだ。
被害規模の拡大は、より一括千金を狙えるターゲットへの移行を表している。米マルウェア専用ITセキュリティー会社、Malwarebytesが米国やカナダを含む4カ国、500社以上の企業にサーベイを行った結果、企業を狙ったランサム攻撃は過去1年間で40%、5カ月間で259%も増えているという。
ランサムは一見、普段利用しているウェブサイトや受信しているメールと同じように見えるため、被害者はまったく自覚のないままに、感染ファイルやリンクをクリックしてしまう。
感染平均速度はわずか0.5秒。気がつけば画面に「脅迫状」が表示されている。ロックされた情報が重要であればあるほど、被害者は「解放」のために身代金を支払うという点で、企業や組織は恰好の標的となるわけだ。