(写真=Thinkstock/Getty Images)
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相続税率の変化から贈与手続きに関心を持っている富裕層は多い。最高税率を回避することができない超富裕層にとっては、贈与の活用は相続税の減少など事業承継プランに欠かせないものになっている。しかし、手続きの不備や知識不足などが招く相続・贈与の失敗事例から、注意すべき相続・贈与手続きへの過信の事柄を紹介する。

過信(1)「贈与申告完了はオールマイティ」ではない

実際に贈与の手続きを行い、贈与の申告を完了していればもう安心と思っている富裕層も多い。しかし贈与対策の効果が無く、後日相続税を納める必要が発生する可能性もゼロではない。

国税局が調査で自宅に来る(臨宅調査の)場合には、世間話と思っている内容の中にも細心の注意が必要である。税務当局は「見解の相違」による過少申告が無いか、レーダーを張り巡らせているのだ。

過信(2)「入念な準備をしたから今後は大丈夫」ではない

富裕層の中には資産承継、事業承継について様々なスキームを駆使したプランを念入りに検討し、贈与プランに着手しているケースがある。贈与する側と贈与を受ける側の合意があって贈与は成立する。

しかし、贈与を受けた側(受贈者)がそのスキームをきちんと理解していないと安心とは言えない。受贈者側の子どもが「知らない。父が勝手にやったこと」と発言してしまえば、贈与手続きが否定される可能性がある。そんな事態が発生すると、「相続税額>贈与税額」である場合は、贈与税対策の効果がなくなり、後日相続税を納める可能性もでてくる。

受贈者にもスキームをきちんと理解してもらう教育が必要である。継続的に変化に対応しサポートする体制や相続発生後に対応する信頼できる番頭役・執事役がいた方が良いことはいうまでもない。

過信(3)「全ての弁護士が顧客志向」とは限らない

超富裕層で遺言を残さずに相続発生、兄弟で共に弁護士を立てて争っているケースを目の当たりにしたことがある。このケースは残念ながら10年以上争っていた。

「かかった時間×報酬単価」のタイムチャージであった場合、弁護士費用がいくらになったのかがとても心配である。兄弟間の意地の張り合いを終結させる仲介役を、担当弁護士に期待することが難しい場合を以下に想定する。

あくまで仮定の話であるが、1、争いが長引くことが弁護士のインセンティブに繋がるタイムチャージ採用2、裁判の長期化をこの担当弁護士が望んでいた

忠実に顧客志向の仕事のため情熱を傾ける弁護士がいる一方で、自らの利益を追求する弁護士がいても不思議ではないと考えられる。