中国固有の土壌を深く理解した自国企業が覇者となる

他国と比較して、中国企業の何がそれほど秀でているのか。今後の日本企業を占う上でも、気になるところだ。

ランクインした22社は、ほかの地域では類を見ない中国市場の特徴を最大限に活かすことで、成功をおさめた企業ばかりだ。

中国市場の特徴として、密着と適応があげられる。分野を問わず、政府との強力なパイプラインと支配力をもった自国の企業が、市場を完全に独占している状態だ。その代表的存在が、世界最大規模のeコマース企業、アリババである。

中国政府の「海外企業締めだし」は、徐々に軟化の姿勢を見せているとはいえ、海外企業が進出を果たし、成功をおさめるには苦戦を強いられる土壌だ。単純明快ではあるが、自国の消費者の需要を理解し、自国の市場に最適な戦略を打ちだした企業が強いのである。

自国の市場を制覇できれば、人口13億8000万人を超える、世界最大の市場を制覇したことになる。中国が6年連続で最多企業を輩出した秘密はここにあると言えるだろう。この6年は中国市場における消費、特にオンラインを通した消費が、劇的な伸びを見せた時期と重なる。企業の成功を下支えするのは常に消費者という、最もわかりやすい例だろう。

先進国の息切れ 新興国の躍進

ほかのアジア諸国とは対象的に、年々選出される企業数が減少傾向にある日本。ランキングの発表が始まった2005年には13企業選ばれていたが、5年後にはすでに2社(任天堂 <7974> 、楽天 <4755> )にまで急激に落ちこみ、2011年にはゼロ。そのまま大きな再浮上を果たせずに、くすぶり続けていた。

主な原因として、日本経済の低迷が長期化していることが挙げられるが、実際は「需要対象の移行」に起因するところも大きい。同様に、10年前は日本に次ぐ「優秀企業国」だったオーストラリアも、やはり5年後には2社、今年は1社もランクインを果たせなかった。

日豪がランキングを制したひと昔前には、ランクイン企業が当時盛んだった重工業に集中していたと指摘する声がある。確かにその後テクノロジー企業がジワジワと伸びを見せ始め、特に今年の上位はテクノロジー関連企業が圧倒的な勢いを見せている。また製薬や土地開発市場も底堅い。

そうした意味で、成長過程にあり、国土が広くネットワークが重要な中国、インドの企業が活躍するのは当然のことである。今後の注目は国をあげてのビジネス改革を実施しているシンガポール、今年初ランクインとなったベトナムだろう。両国におけるテクノロジーの進化には類まれなものがあり、FinTech分野でも大いに期待されている。

日本の企業がアジアのトップに返り咲くために必要なものは、テクノロジーや国際化といった目に見えるもの以上に、「消費者を動かす原動力」という原点回帰的な要素なのかも知れない。(ZUU online編集部)

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