「円高メリット」──材料として復活?

その昔、バブル相場の頃、株価が上がる要因として「トリプルメリット」という言葉があり、今は完全に“死語”となりながら、当時はそれが“金科玉条”のようでもあった。トリプルメリットとは「円高」、「金利低下」、「原油安」。現在は、先の日銀政策決定会合では失望感を生じさせたものの、日銀の姿勢は緩和から変わっておらず、そこからくるジャブジャブの資金が株価を支えるとの期待に結びついている。

「原油安」も、一時期よりは戻したとは言え、高いガソリン代に悩まないでも済むレベル。輸入に頼る日本の経済にとって、プラスに作用しているのは間違いない。

もう一つの「円高」、プラザ合意の後、円高不況に苦しんでいたのが、短期間で株式市場は「円高」を“メリット”としてとらえるようになったのである。実は、当面の相場を語る上で、この点がヒントになるかもしれないのだ。

円安を買いの材料として求める現在の株式市場において、円高のメリットが語られることは少ないのだが、為替相場が円高に振れれば、原油をはじめ多くの原料を海外から輸入している企業はコスト低下につながる。そして、この視点とリンクさせて考えたい材料が出現した。そう、政府が明らかにした約28兆円に上る大型の経済対策である。これが国内景気を刺激するのは言うまでもない。

一時的にでもこの施策によって、輸出主導ではなく、内需主導で国内経済がけん引されるのであれば──ここで為替相場を考えれば、「円高メリット」という言葉が“息を吹き返す”余地が広がるとみていいのではないだろうか。

その結果、予想されるのは、株式市場では心理面では「円安頼み」が残りつつも、実質的には「円高メリット」も評価されつつある点だ。株式市場が内需株主導の相場になった場合、為替相場に対して発想の転換が起きる可能性がある。急速に円高に振れる場面となっても、株価が粘りを示すようになったのは、それを感じているからかもしれない。

チャートは下げ相場にピリオド

最後に、日経平均のチャートをみてみよう。正直、値幅を取ろうという向きにとって、中期トレンドは横ばいの面白みに欠けるチャートだ。

しかし、横ばいの相場を続けるうちに、昨年夏以降、右肩下がりだった上値抵抗線をブレークする格好となっている。テクニカル的にみると、下げ相場にピリオドを打ったと言っていい。

今の相場は、日銀がETFを購入して支えてられている官製相場との見方もある。ある意味、それは事実だろう。しかし、本当に五月雨的に売りが出る時は、支え切れるものではない。今後も、株価の円高に対する感応度が鈍れば、内需株主導の上昇相場のシナリオが描けるようになりそうだ。(ZUU online 編集部)

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