投資信託,資産運用
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「この投資信託は評価機関で『◯◯賞』を受賞しました」

上記は銀行員のセールストークの一つである。読者のなかにも実際に「◯◯賞受賞」の投資信託を勧められた人もいるかもしれない。パンフレットに「◯◯賞受賞」と誇らしげに書かれたロゴを見せられた人もいることだろう。

公平であるはずの評価機関で受賞した投資信託ならば、きっと間違いない……投資家がそう考えるのも無理のない話だ。だが、あえて言わせて頂く、「評価機関」の評価ほどアテにならないものはない。

どれだけ多くの賞をつくれば気が済むのだ?

投資信託を購入する際には、販売サイドである金融機関から発信される情報だけでなく、第三者による情報をあわせてチェックし、いろいろな角度から比較検討すべきである。だが、現実問題としてごく一般的な銀行の利用者にとっては、決して容易ではない。

まず、どこで情報を入手できるのかも分からなければ、入手した情報をどう分析して良いのかも分からない。そこで「評価機関」による評価を参考にしようと考えるのは、ある意味当然といえる。

マネー誌やパンフレットで「〇〇賞受賞」と紹介された投資信託を目にすることは珍しくない。評価機関は第三者の立場から、投資信託のパフォーマンスを客観的に評価し、格付けなどを行なっている。そして優れたパフォーマンスを残した投資信託に対して賞を与えているのだ。そう、少なくとも表向きは……。

あなたは、ネットなどで「投資信託の受賞」について調べてみると、ある不可解な事実に気づくかもしれない。「一体どれだけ多くの賞があるのだ?」と困惑するだろう。実際、銀行員の私でさえもどれだけの賞があるのか検討もつかない。投資信託の賞は、それほど乱発されていると考えて良い。

ある評価機関の賞を見ると、2015年は8部門で最優秀ファンド賞が8本、優秀ファンド賞28本で合計36本のファンドが受賞している。賞は国内株式大型部門、国際株式型部門……といった具合に細かく分類されている。

たとえば、債券型部門では最優秀ファンド賞は1つだが、優秀ファンド賞は6つもあるのだ。さらにその内容をより詳細にみると、米国の社債で運用するものがあれば、欧州のハイイールド債で運用するものもある、インドの債券もあれば、為替リスクを取らず日本国内の債券のみで運用するものもある。これほど受賞の対象が多岐にわたっていては、結局何が良いのかさっぱり分からない。

客観的なデータをもとにパフォーマンスを分析しているのであれば、本来はこれほどたくさんの賞が生まれるはずはない。

「良いものは良い。悪いものは悪い」それは誰が判断しても同じはずである。評価機関によって受賞ファンドが異なることも、よくよく考えてみるとおかしい。

世の中にはあまりにたくさんの賞が存在しているのだ。