四国でも地価持ち直しの動き

中国地方での好調な不動産市況は、瀬戸内海を挟んだ四国地方でも地価の持ち直しの動きがみられる。2016年の地価調査では、4県とも住宅地・商業地の変動率は前年比では落ち込んだが、マイナス幅が改善した。

4県の商業地のなかで、前年の2.2%減から1.2%減と1.0%マイナス幅が改善した徳島県では、JR徳島駅前の地点が、17年ぶりに地価が上昇するなど、地価の持ち直しをみせた。ホテルの新規開業や既存ホテルの増築などで客足が増加。これまでの下落で割安感が広がっていたなか、低金利や税制の優遇措置などを受けて、土地需要の高まりつつある。さらに、17年には徳島市で大型商業施設の開業も予定されており、先行きに明るい兆しをみせる。

徳島県と並び、商業地で変動率のマイナス幅が前年より1.0%改善した香川県は、商業地の上昇地点はなかったものの、住宅地では9地点が上昇のトレンドとなった。高松市中心の人気の高い学校周辺および、宅地開発が進み人口が増加傾向にある郊外エリアで需要が高まり、地価を押し上げた。

地価上昇が地方にも波及、県内格差も

日銀の金融緩和やマイナス金利の導入などによる不動産市況の活況は、これまで大都市を中心にその恩恵を預かってきたが、ここにきて地方都市にも地価上昇トレンドが拡大しつつある。

金利低下により行き場を失った投資マネーが地方の不動産に流れ込むとともに、これまでゴールデンルートと呼ばれる3大都市圏を中心に周遊していた訪日外国人観光客がリピーターとして、地方都市にも足を運ぶようになり、ホテルの需要を押し上げ、商業地の地価上昇を支える。

一方、地方都市でもこうしたメリットは県庁所在地などの観光地に集中し、周辺地域は引き続き、人口減少に加え利便性を求めて県内の中心部への移住による人口流出に悩む。中心部の地価上昇は過疎地の地価下落によって支えされている面も否定できない。インバウンド需要が堅調に推移していけば、地方都市の商業地にとっては引き続き明るい材料となるが、観光地以外の住宅地の土地需要を喚起できるかは、未知数のままだ。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)