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(写真=PIXTA)

企業が事業拡大を図るうえで、経営戦略として企業買収を行うことは今や一般的となってきている。これには大きなメリットがあるからだ。そして、経営戦略として企業買収を行うことで成功した企業も多くある。

そこで、企業の経営戦略としての企業買収にはどのようなものがあるのか、また成功事例について解説していこう。

経営戦略としての企業買収

経営戦略としての企業買収を行うメリットには、主に3つあると考えられる。

1つ目が、「既存事業の拡大や補完、そして多角化経営が可能となる」点だ。企業の経営戦略上、既存事業の拡大を図るには、従業員を増やし販売力を強化するほか、新製品の開発によるヒットをつくるといったことが考えられる。

しかし、これらはあくまで社内での対応だ。売上や利益拡大を1年間で20%や30%増を見込むことは社内対応だけではいつまでもできるとは限らない。そこで既存事業の拡大や新規事業として企業買収を行うのである。企業買収により、それまでその企業が弱みとしていた部門の強化も行うことができ、市場が縮小するなど困難な状況に直面している企業では、活路を見出すために企業買収を行うこともある。

2つ目が「時間を買うことができる」点。自社で新規参入などを検討し、初めから行う場合には、実際の収益となるまでにかなりの時間を有することになる。しかも新規事業の場合には、ノウハウもない。企業買収を行うことでこうした時間を買い、ノウハウが会得できる。また、規模の拡大は、優秀な人材を獲得することにもつながるだろう。

3つ目に、「機会損失が防げる」点。経営戦略上、いま流行のビジネスに参入しようと考えた場合に、今から参入するのではシェアがとれないかもしれない。ではやめておこう、となったとき、稼げる事業を自らやらないことになる。もし企業買収できれば、シェアをはじめからとることができ、流行のビジネスで、ある程度勝ち組になることができれば、最終的には「金のなる木」へと変貌する可能性がある。こうした可能性を捨てることは機会損失が発生することにもつながる。そこで企業買収により、このような機会損失を防ぎ、既に軌道に乗る事業や企業を買収することでリスクをおさえながら企業発展につなげていくのだ。