Autumn (写真=PIXTA)

四季折々の旬を味わう日本人にとって、「実りの秋」は食の楽しみが増える季節だ。脂がのった魚や豊かに実った果物など、秋の味覚を目の前にすれば自然に食欲がわいてくる。

秋は一年の中でもっとも食欲が高まる季節といわれ、どうしても食べ過ぎてしまうという人も多いのではないだろうか。

そこで今回は、食欲をコントロールして食べ過ぎを防ぐ、太りにくい食べ方を紹介しよう。

秋はなぜ食欲が止まらないのか

秋に食欲が増すのは、美味しい食べ物が増えるということだけではないようだ。食欲に影響する要因として挙げられるのが、日照時間の減少だ。夏は一年でもっとも日照時間が長いが、9月に入ると日が短くなったと実感することからわかるように、太陽が出ている時間が一気に少なくなる。この影響を受けるのが、セロトニンと呼ばれる脳の神経伝達物質だ。

セロトニンは精神を安定させる働きを持っていることで知られているが、満腹感を司る満腹中枢に作用して食欲を抑制することもわかっている。セロトニンは太陽の光を浴びることで増えるといわれ、日照時間が短くなる秋は分泌量が低下してしまう。そのため、食べても満腹感を得られにくく、つい食べ過ぎてしまうというわけだ。

そのほかにも、気温が下がると体温を維持しようとして代謝量が高まるため食べる量が増えることや、冬に備えてエネルギーを蓄えておくことも理由として考えられている。

食事も楽しめて太りにくい食べ方のコツとは

旬の食材を目の前に、美味しいものを食べたいという欲求を抑えるのはストレスになる。そこでおすすめしたいのが、食事を楽しみながら食べ方を工夫して太りにくくするという方法だ。いずれも毎日の食事に簡単に取り入れられるので、ぜひ試していただきたい。

● 野菜や海藻など食物繊維を先に食べる
空腹時に炭水化物などの糖質を含んでいる食べ物をとると、血糖値が急上昇し、インスリンが大量に分泌される。インスリンは脂肪の合成を促すため、太る原因となってしまう。インスリンの分泌を抑えるのが野菜や海藻、キノコ類など食物繊維を多く含む食べ物を最初にとる方法だ。食物繊維が先に体内に入ることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができ、食べても脂肪を蓄えにくくなる。

● よく噛んでゆっくり食べる
昔から、よく噛んで食べると健康にいいといわれているが、これは噛むことで唾液が分泌されるため、免疫力を向上させることからきている。一方で、「噛む」という行為自体が満腹中枢に刺激を与えることがわかっている。食べ物の量ではなく、噛む回数によって満腹感を得られるので、食べ過ぎを防ぐことができるのだ。噛む回数は一口につき、30回程度を目安にしよう。

よく噛んで食べるということは、ゆっくり食べるということにもつながる。食べ物を口に入れてから、満腹中枢が感知するまで約20分かかるといわれている。早食いは食べ過ぎを招くもとということだ。わかっていても、つい食べるのが早くなってしまうという場合におすすめしたいのが、一口食べることに箸を置くという方法だ。食べながら会話を楽しむなど、ゆっくり食事をする習慣を身に付けよう。