いよいよ10月10日に迫ったノーベル経済学賞(正しくは、「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」)の受賞者の発表。この賞に一貫しているのは、1969年に創設されて以来、米国のエリート大学で業績を残し、米学術誌での論文の引用回数が他の研究者より優れている米国人・非米国人の経済学者が受賞者の大半を占めるということだ。

今年も米国にゆかりの深い人たちが最有力候補に挙げられている。米調査会社トムソン・ロイターの予想では、米マサチューセッツ大学(MIT)で経済学の博士号を取得し、ボストン連銀やニューヨーク連銀の顧問を務め、国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストに登り詰めた、米永住権を持つフランス人のオリヴィエ・ブランチャード氏(67)が筆頭候補だ。マクロ経済分野で、不安定化要因や雇用の研究に功績を残した。すでにノーベル経済学賞を受賞したニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授の盟友でもある。

その他にも、人事と組織の経済学で有名な米スタンフォード大学のエドワード・ラジアー教授(68)や、企業の多様性および国際貿易の研究で注目を浴びるハーバード大学のマーク・メリッツ教授(48)の名が挙がっている。

米ジョージ・メイソン大学で教鞭をとり、素人にも親しみやすい経済学ブログ『マージナル・レボリューション』を運営するタイラー・コーエン教授(54)は、「94歳の大御所で元米プリンストン大学教授、元米国経済学会会長のウィリアム・ボーモル氏が、私の筆頭候補だ。彼は、公共サービスの生産性が上昇しないことを説明する『ボーモルのコスト病』を提唱したからだ」と述べた。

一方、近年は毎年のようにノーベル経済学賞候補に挙げられるニューヨーク大学教授で、現在世界銀行のチーフエコノミストを務めるポール・ローマー氏(60)は、「大学側が、もし私が受賞した場合に備えて、発表記者会見の準備や記念ウェブページの作製まで行っている。私が、『可能性は低いから、そんなことはやめてくれ』と言っても、聞いてもらえない。ついには、フライングで受賞記念のホームページを間違って公開してしまった。すぐに削除されたが、今でも『魚拓』で見られるので、興味ある人は、覗いてみてはどうだろう」と、ユーモアたっぷりにブログにつづっている。