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(写真=PIXTA)

金融(finance)とIT技術(technology)を掛け合わせた「フィンテック」という言葉は、今やすっかり普及した感があります。日本でも100社以上の企業がフィンテックのサービスを展開し、資産運用や決済、口座管理などがスマホから簡単にできるようになっています。

そして、これまで古い慣習が根強く残っていた不動産業界の常識を覆す、「不動産テック」のサービスが次々と登場しています。これもフィンテックと同様、不動産とIT技術を掛け合わせた「RealEstateTech」を意味する造語です。

不動産テックを活用したサービスは、不動産売買や不動産投資、賃貸住宅、リノベーションなど多岐にわたり、高い関心を集めています。それでは、これらのサービスは、今後、どのようになるのでしょうか。

不動産業界にある消費者と業者の「情報の非対称性」

世界的に見ても、不動産業界のデジタル化は遅れていました。日本はこれまで物件情報などが一般公開されていなかったために、不動産業者だけが詳しい情報を持ち、消費者が弱い立場に置かれているのではないかという指摘がありました。

このような「情報の非対称性」が原因で、消費者は適切な売買を判断する材料、知識が少なく、悪い業者がそれを利用して、自分たちだけが利益を得るようにしていたケースもありました。以前から問題視されていましたが、その商慣習がなかなか改善されない状況が長い間続いてきました。

しかし昨今、あらゆる業界でITテクノロジーの導入が当たり前となり、消費者も賢くなりました。商品やサービスを購入・利用する前に、インターネットを駆使してさまざまな情報収集を効率的に行うようになりました。

さらにスマートフォンが登場し、あらゆる面で効率が重視されるようになってきています。りそな銀行では、3年後をめどに手続きの際の印鑑が不要となる「生体認証システム」に切り替えることが発表されました。

当然の事ですが、不動産業界でも「できるだけ手間をかけずに不動産の売買を行いたい」「ネットで効率良く情報収集をしたい」というユーザーが増えることは避けられず、不動産テックが話題となっているのは、時代の流れからすると必然なのです。