若い女性の心を掴んで離さない理由

ジュエリーと耳にすると、高額な商品をイメージしがちだが、4℃は1-2万円台の商品を中心としたラインナップで、高額商品は10万円台までで揃える。特に前者の価格設定が、手軽にジュエリーでお洒落を楽しみたい若い女性の心を掴んで離さないようだ。

気分や洋服のコーディネートに合わせてジュエリーも選択したい女性たちにとって、4℃の価格設定は強い味方となる。ジュエリー市場は、景況感の影響を受けやすく、特に高額ジュエリーの販売は、株価などの影響で急ブレーキがかかる危険性がある。しかし、4℃は低価格帯の商品を充実させることで、女性たちの力強い需要に支えられ、景況感に左右されることなく堅調な売り上げで推移している。

しかし、記録的な台風の上陸に見舞われた2016年8月は、4℃の既存店も苦戦。客数は前年同月比で1.6%減、客単価は同5.8%の落ち込みとなった。救世主となったのがEC事業で、売上は同53.9%増と大幅な伸びを記録。悪天候で店舗に足を運べなかった顧客が、ネットに切り替えて商品を購入した姿が浮かび上がる。

高額なジュエリーのケースでは、ネットショッピングでの購入に二の足を踏む可能性もあるが、1-2万円の商品の場合は手軽に利用できるだろう。さらに、すでに4℃の商品を購入したことがある顧客にとっては、サイズ感や実物のイメージにも馴染みがあり、躊躇なくネットから購入し、その事業の成長を支える。

旬の商品をタイミングよく届ける

小売業の命運は、ファストファッションの時代に代表されるように、新商品導入の機会を増やし、来客頻度を上げて、消費者がその時に欲しい旬の商品をいかに提供できるかにかかっている。洋服に比べて比較的商品の寿命が長いとされるジュエリーだが、売れない商品を店舗に陳列し続けるのは、ブランドマーケティングの上でも足かせとなる。

商品の売れ行きが思わしくない場合に、値下げや抱き合わせ販売など、あの手この手で販売促進をして在庫処理を試みるのが一般的だが、4℃は基本的にはセールで値下げには踏み切らない。売れ行きが伸びない商品を見極め、ジュエリーを溶かして新しい商品に蘇らせることで、不要な在庫を抱えず、「旬」の商品を店頭に並べるように工夫している。こうした戦略は、値下がりまで顧客が消費を控え、店舗も売上高も伸び悩む問題から解放され、顧客の来店回数や購入頻度のアップに貢献することが期待できる。

バブル崩壊以降、ジュエリー市場は縮小傾向にあるが、いつの時代も宝飾品を楽しみたいという女性の心に変化はないようだ。そのなかで、消費者がジュエリーに費やしたい価格帯を的確にとらえ、旬の商品をタイミングよく消費者に届ける4℃は、時代の潮流に乗って手堅くビジネスを成長させる。

消費マインドの冷え込みやインバウンド需要の落ち込みなどビジネスを取り巻く環境は立ち向かう荒波のようだが、外的要因からの影響を最小限に食い止めながら、好調な業績を積み上げる4℃がクリスマス商戦でどれほどの勢いを見せるか。年末の楽しみなビジネス話題となりそうだ。(ZUU online 編集部)