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(写真=PIXTA)

三菱商事 <8058> の株価が好調だ。10月11日には2372.5円の年初来高値を付けた。昨年末比では約17%の上昇、安値の2月12日からは52%も上げている。通常、総合商社は同じような株価の値動きになるのだが、今回の株価上昇は三菱商事の一人勝ちだ。なぜ三菱商事が買われているのだろう?

三菱商事が年初来高値、三井物産、伊藤忠は出遅れる

総合商社でライバルの三井物産 <8031> の10月11日高値は1419.5円。昨年来のパフォーマンスでまだマイナス2%。7月安値からの上昇率が23%だ。伊藤忠 <8001> の10月11日高値は1303.5円。昨年末からまだ10%下に位置しており、7月安値からの上昇率は15%程度だ。両社とも10月11日時点で年初来高値を更新しておらず、安値からの上昇率も三菱商事に大きく差を付けられている。株価では明らかに三菱商事の一人勝ちの格好だ。

三菱商事のみが第1四半期増益決算で増益

総合商社の前2016年3月期は原油や資源を中心としたエネルギー関連の特損を計上せざるを得ず、三菱商事は4300億円の減損で連結最終損益は1493億円の赤字、三井物産は2600億円の減損で834億円の最終赤字となった。ともに連結最終赤字は創業以来はじめてだ。大手2社が赤字に沈んだことで、非資源関連を収益のメインとしている伊藤忠が最終利益2403億円ではじめて大手総合商社の利益ランキングで首位に立った。

今期は流れが変わってきた。8月上旬に発表した大手商社の17年3月期の第1四半期決算(4-6月)では、三菱商事の最終益が35%増の1008億円と大幅増益になったのに対し、伊藤忠は40%減の731億円、三井物産は37%減の611億円、丸紅 <8002> は32%減の484億円、住友商事 <8053> は72%減の227億円と2桁の減益だった。

大手商社5社で増益となったのは三菱商事だけだ。WTI原油先物価格は底値からは反発しているものの、前年同期比ではまだ2割程低い水準だ。銅の国際価格もまだ2割程度下回っている。三菱商事以外の商社では、エネルギーや金属部門の利益がまだ落ち込んでいることに加えて、三井物産や住友商事や伊藤忠は前年同期に不動産売却益や株式売却益などを計上しており、そういった一過性の利益がなくなことも減益決算に影響している。

ただ、好決算の三菱商事と減益決算ながら611億円の黒字となった三井物産はアナリストのコンセンサス予想を上回る決算だった。三菱商事の8月2日の決算発表翌日の株価は5.3%高、8月3日の三井物産の決算発表翌日の株価は4.6%高と買われた。