三菱商事の増益を支えているのは豪州石炭事業
三菱商事だけ増益となったのは、市況低迷で赤字の続いていた豪州石炭開発子会社がコスト削減効果で15年1-3月期以来5四半期ぶりに黒字転換を果たした寄与が大きい。セグメント別で資源分野の第1四半期の最終利益は、前年同期の142億円から342億円へと200億円増加した。特に、石炭事業を含む金属分野が前年同期の56億円の赤字から116億円の黒字に転換したことで172億円の寄与だ。
セグメント別で、非資源分野の最終利益も、前年同期の569億円が672億円に103億円増となっている。ノルウェーでのサケ養殖事業を含む生活産業部門が大きく改善している。サケ養殖が前年同期の赤字から市況改善により黒字転換したことで同部門の利益は56億円から218億円に162億円上乗せされている。
アナリストの業績予想も三菱商事に最も強気
三菱商事では、17年3月期通期の最終利益を2500億円と予想している。前期の1493億円の大幅赤字から黒字転換する見込みだ。そのうち、石炭を含む金属事業の損益の想定はゼロで前期の3607億円の赤字から大きく改善する予想だ。
すでに第1四半期の利益は1008億円で通期予想に対し40%と高い進捗状況となっている。6月以降、石炭の国際市況の回復が顕著なためさらに通期の利益が上積みされる可能性も高い。原料炭市況は中国の生産過剰解消などで需給が引き締まり、8月後半から国際スポット価格が急上昇、6月末の1トンあたり90ドルから、9月中旬には200ドルを突破しているからだ。9月27日時点の三菱商事のアナリストのQUICKコンセンサスの純利益予想は3069億円と会社予想を約500億円強上回っており、アナリストの業績見通しも強気だ。
同様に他の総合商社の会社予想とアナリストコンセンサスを比較すると。伊藤忠が予想3500億円に対しコンセンサスは3404億円、三井物産が2000億円に対し2123億円、丸紅が1300億円に対し1366億円、住友商事が1300億円に対し1377億円となっている。やはりアナリストの業績予想も三菱商事に対する予想が一番強気だ。
ローソンのTOBに伴う評価益も計上か?
ゴールドマン・サックス証券は、9月27日付けで三菱商事を「中立」から「買い」に格上げした。目標株価も1900円から2550円に引き上げた。石炭事業での利益上積みが期待できることとローソンの特別益250億円が期待できるためだ。三菱商事の通期利益を3720億円とコンセンサスを上回るレベルに上方修正している。
三菱商事は、17年1月めどにローソン <2651> をTOBして完全子会社化する。TOBをかけると会計上は、ローソンの簿価と時価の差額が評価益として発生する。
こうした好業績、アナリストの高評価を織り込んで、三菱商事の株価は一人勝ちになっているようだ。このまま三菱商事の一人勝ちが続くのか、三井物産や伊藤忠といったライバルが業績面や株価面で巻き返すのか、大手商社の中間発表と株価の動向からは目が離せない。(ZUU online 編集部)