アイスタイルは駆け足で成長、2015年には「テンバガー」も
アイスタイルは1999年に設立し、口コミサイトの @cosme をオープン。その後モバイルサイト、ECサイトの開設を経て、ポータルサイトへの拡大発展、さらに美容サイトの開設と順調に拡大してきた。
2012年3月には会社設立13年目にして東証マザーズにIPOを果たし、8カ月後の同11月に東証1部に指定替えする躍進をみせた。
同社の収益の柱は、@cosmeに掲載する化粧品メーカーからの広告収入だ。コスメ・美容分野において圧倒的なリーチ力を持つため、大手化粧品メーカーにとっても商品訴求の重要なポータルサイトとなっている。
広告収入をメインとするマーケティング事業部門の2016年6月期の売上は約52億円。アイスタイルの売上構成で37%、営業利益ベースでは57%を占めるまさに同社の大黒柱となっている。売上構成では、主力の@cosme の他には、実店舗「@cosme store」の運営、ECサイト運営、美容サロン検索サイト ispot の運営などがある。
株価が10倍になる銘柄を「テンバガー」という。多くの株式投資家にとって、テンバガーを保有することは夢だ。アイスタイルは2015年12月に1240円の高値をつけた。2014年末の株価が123円なので、2015年には年間で夢のテンバガーを達成したことになる。
波紋を呼ぶアイスタイルの今期減益予想
今年8月3日に発表したアイスタイルの2016年6月期決算は、売上48%増の約143億円、本業の利益を示す営業利益が2.7倍の約18億円だった。これを見る限り、ピカピカの申し分ない実績である。
ところが、2017年6月期の予想については、売上30%増の186億円と高い伸びを見込んでいるものの、営業利益は17%減の15億円と2桁の減益予想を出してきたのだ。「@cosmeも市場成熟か?」「アイスタイルの迷走か?」と市場で話題となり、同日行われた決算説明会の会場はアナリストや機関投資家で埋め尽くされた。
説明会では、今期の営業減益要因は、新規事業への先行投資で3.5億円、本社オフィスの増床で2.3億円の減益要因になるとしており、あくまで中長期を見据えた減益予想ということだった。しかし、高成長期はそういった投資も吸収して「高成長が続く」ものだとの思いも市場には根強い。
海外への本格的進出も視野に入れる
アイスタイルの株価をみてみよう。同社は好決算期待が高く、決算発表前日の8月2日には年初来高値の992円をつけていた。それだけに、今期の減益予想への失望は大きく、8月4日には16%安と暴落した。さらに8月9日まで4日連続の大幅下落となり、658円の安値まで売られた。わずか5営業日で34%の暴落である。その後株価は反転したものの決算発表前の水準には届いていない。
同社は、決算発表と同時に2020年までの中期経営計画も発表している。2020年の目標は売上500億円、営業利益70億円だ。売上は平均35%増ペース。一人あたりの営業利益は1.8倍となる見込みで生産性が大幅に向上する。
その戦略としては、@cosmeを基盤とした収益構造の強化、化粧品小売店に続く美容関連事業への新規進出、海外への本格的進出を掲げている。日本で確固たる地位を築いた同社は、次のステージとして世界一のコスメ・美容サイトを目指すようだ。
これまで順調に成長してきた同社であるが、そろそろ軸足をWebベースから移さないと成長できない時期に来ているのかもしれない。アイスタイルは、いままでのような高成長を続けられるのだろうか? 今後を見守りたい。(ZUU online 編集部)