ナスダック(NASDAQ)のアディーナ・フライドマンCOOは10月11日、香港証券取引所(HKEX)にブロックチェーン技術の提供を提案した。

今年9月には香港金融管理局(HKMA)がブロックチェーンハブの開設を発表するなど、にわかに活気づいてきた香港のFinTech市場。ここに資産の流動性を飛躍的に向上させる最新技術を取りこみ、一気に盛りあげようという意図だ。

国際的な視野から世界一のFinTech都市を目指す香港

サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)紙のインタビューに応じたフライドマンCOOは、ナスダックがいかにテクノロジーの採用に熱心であるかを強調。「ブロックチェーン技術がHKEXにもたらす恩恵は計り知れない」と、FinTech化に取り組んでいるHKEXに技術提供のアプローチを試みた。

FinTechエコシステムの構成では、シンガポールなどに一歩も二歩も出遅れた香港。香港特別行政区政府による観察期間を経て、今年にはいってようやくスタートアップ支援プログラムが設けられたほか、香港証券先物委員会(SFC)がFinTechアドバイザー・グループを立ちあげている。

最も注目を浴びているのは9月に発表された、HKMAと香港応用科技研所(ASTRI)の共同ハブ、「HKMA ASTRI Fintechイノベーションハブ」の設立だろう。ブロックチェーンの早期実証実験や効率的なエコシステムの探索など、香港の金融システムを一新する次世代フレームワークの構成を目指している。「香港を世界最強のFinTech都市に成長させる」というHKMAの野望にも、ナスダックの提案が一役買うことは間違いなさそうだ。

ナスダックは昨年、ブロックチェーンを採用した未公開株式取引システムを発表したのを皮切りに、金融取引のデジタル化に積極的に取り組んでいる。

HKEXへの具体的なアプローチなどに関しては明らかにされていないものの、オーストラリアや英国の証券所はすでにナスダックのブロックチェーン技術をテスト中だ。香港が後に続いてもけっして不思議ではない。

一方HKEXは5月、米国際情報会社トムソン・ロイターと「人民元インデックス」の共同開発に着手するなど、国際的な視野から事業拡大に意欲を見せている。( FinTech online編集部

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