それではなぜ株価は売り気配となったのか、期待感が高すぎたためだろう。
キューピーは、6月24日に通期の営業利益280億円予想を290億円に上方修正していた。主要な原料である鶏卵や物流システム事業で燃料として使用する軽油の購入価格が想定より下回ったためだ。上方修正後の7月7日にキューピーの株価は3590円の年初来高値をつけている。
それ以降、軽油価格はやや上昇傾向だが、鶏卵安は続いており、第3四半期決算発表時に再上方修正する期待が高まっていた。期待感から株価も上昇しており、9月28日には3340円と7月高値以来の高値をつけていた。
アナリストのコンセンサス業績予想であるQUICKコンセンサスを見ても、キューピーの営業利益予想は、会社予想の290億円に対し、9月26日時点で300億円になっていた。アナリストはキューピーが上方修正すると見ているのだ。今回の決算は、会社予想がコンセンサスまで上方修正されなかったことで、失望決算と市場は受け止めたのだ。
むしろ、今期は減価償却方法の変更に伴う残存簿価の一括償却を第1四半期に計上しており、プラスの影響が13億円ほどあった。これを除くと実質ベースでは、営業増益率は2.5%増益にとどまっているという見方もでてきている。上方修正どころかむしろ減速ととらえられた向きもあるようだ。
株式投資を本気でやるのなら、投資先企業の決算短信を必ず眺める癖を是非身につけよう。だいたいの情報は手に入る。決算数字も、売上や営業利益の水準、前年同期比をみるだけでなく、進捗率やコンセンサスとの比較を常に意識するようにしたい。
証券会社の目標株価引き下げも追い討ち
好決算ながら期待を下回る決算だったキューピーに、さらに追い討ちをかけたのが証券会社の目標株価の修正だ。
10月6日付でみずほ証券が投資判断「中立」を継続したものの、通期営業利益を296億円から294億円へ若干ながら下方修正、目標株価を3250円から3060円へ引き下げた。 この影響か、10月7日のキューピー株は57円安とまた1.9%安まで売られた。
その後も、10月11日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券がキューピーの投資判断を「強気」継続としたものの、ターゲットを3800円から3660円に下げている。 大手証券会社のアナリストも、同じように決算短信を読み取り、キューピーの減速傾向を感じたのに違いないだろう。(ZUU online 編集部)