ネクスト11
(写真=PIXTA)

ネクスト11という言葉を覚えているだろうか。ネクスト11は2005年にゴールドマン・サックスがBRICsに次いで将来的に非常に大きな影響力を持つ可能性があると指摘した新興国11カ国のことであり、イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、メキシコがそれにあたる。

当時大いに流行したBRICsは今のところ、ブラジルやロシアは経済の低迷にあえぎ、中国も財政出動で経済を下支えしているような状況であるが、ネクスト11はその後結局どうなったのだろうか。今回はネクスト11のイマを見ていこう。

混迷を極める中東アフリカ諸国

ネクスト11の大きな特徴はイランやエジプトなど、地政学的に非常に不安定な中東アフリカ諸国が多く含まれていることである。これらの国々は政治的不安定さや紛争が経済の安定的な成長を損なうことが多く、ネクスト11に含まれるトルコやエジプトなども例外ではない。

エジプトはクーデターや反政府デモが頻発し国内情勢が混迷化、観光業や海外からの投資に深刻な影響を与えている状態となっており、大幅な貿易赤字が続いている。株価もふるわず、リーマンショック前の水準には程遠い水準で推移している。

エジプトと同様に、トルコも政治的混乱が経済に深刻な影響を与えている。2016年7月にはクーデター未遂が発生するなど国内情勢が不安定なうえに、イスラム国や隣国シリアとの武力衝突が後を絶たない。その結果、ムーディーズなどの格付け機関はトルコのソブリン格付けをジャンク級に引き下げており、通貨のトルコリラは対ドルで過去最安値を更新するなど金融市場も非常に不安定となっている。

イランは核開発を推し進め、米国やEUなど諸外国から経済制裁を課された結果、2012年と2013年はマイナス成長となり、イランの通貨であるリアルが暴落して急速なインフレが発生、経済に深刻な影響を与える結果となった。しかし、核協議においてイランと欧米諸国が歴史的な合意に達し経済制裁が解除されたため、世界銀行はイランの成長率を従来の予想よりも上方修正し、2016年は5.8%、今後も高い成長を見込んでいる。

多くの中東アフリカ諸国が紛争や政治的混乱で低迷したのに対し、ナイジェリアは相対的に高い経済成長率を達成してきた。GDPはアフリカ最大となり、アフリカの台頭を象徴するような存在となった。しかし、ナイジェリア経済は原油に大きく依存しており、近年の原油価格の急落を受けて経済は疲弊している状況だ。世界銀行はナイジェリアの2015年の経済成長率を2.8%と発表、前年の6.3%から大幅に低下する結果となった。