日本の不動産取引が急回復しています。2013年度の不動産取引額は前年度に比べ72%増加の4兆1080億円、伸び率は過去10年で最大となりました。賃料の改善期待が高まり、不動産投資信託(REIT)や外資系ファンドが物件取得を加速させる一方で、企業も不動産の自社保有に切り替えていく動きが見られます。2013年のREIT取引額は1兆9614億円と前年度比38%増加となり、過去最高を更新しました。日銀の金融緩和からREIT市場が活況で、新規上場や増資によって資金調達がしやすくなっています。
東証REIT指数は、2014年度に入ってから上昇が続いています。2014年6月16日現在、東証REIT指数は1,567ポイント。まだ、2013年4月の高値を抜けませんが、2013年9月から安定推移していた1,400~1,500ポイントのレンジを一段超えました。投資口価格の上昇、公募増資により、REIT全体の時価総額は初めて8兆円に到達しました。東証が発表する投資家売買動向によれば、5月は5か月ぶりに外国人投資家が買い越しました。5月の東証REIT売買の委託内訳で、外国人投資家は、買いで47.5%、売りで45.4%のシェアを取っています。円高のため、海外資金の流入が東証REIT指数の上昇につながったと推定されます。
2014年6月16日現在、REIT全体の時価総額は8兆3千億円と最高値となる一方で、平均分配金利回りは3.53%と一年ぶりの低水準となっています。10年物国債利回りが0.590ですので、長期金利との利回り差が維持されていますが、平均分配金利回りの低下は、REIT全体の時価総額や投資口価格の上昇を抑えることになると予想されます。
REITの投資対象はオフィスビル、商業施設、住居、倉庫、ホテルなどがあります。オフィスビルに関して言えば、東京地区のオフィスビルの空室率が低下し、賃料上昇が見られることから、オフィスビルを対象とするREITでは、分配金利回りや投資口価格の上昇が期待されます。また、今後はサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームを対象とするREITが有望です。日銀は物価上昇に自信を持っており、市場関係者の追加緩和期待が萎んでいますが、追加緩和無しでも、REITの投資対象の賃料が上昇し、REIT投資のリターンを高める期待があります。
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