近年売上が低迷している高級ブランド産業でも、生存競争のカギはデジタル化だといわれてきた。しかしデジタル化にいち早く乗りだしたバーバリーやラルフ・ローレンといったブランドでも、やはり売上低下に歯止めがかかっていない。

そんな中ファッション産業のアイコン的存在「Vogue」が、2017年ロンドンにデジタル編集ハブの開設を予定しているという。

デジタル化を使いこなせていないバーバリーやラルフ・ローレン

世界23カ国で出版されているVogue誌の編集作業が、複雑を極めることは想像するに容易い。言語は勿論、読者が興味をもつ対象物の違いなど、細かい基本作業から共有のコンテンツまで、各国の編集部は過密スケジュールに追われる日々だ。

Vogueの試みは編集作業をロンドンのハブでデジタルライン化し、記事や写真、アイデアや情報などを、世界中のスタッフ間で共有しやすくするというものだ。14カ国のネットワークエディターが地元の情報をハブに配信し、世界中のVogueファンが楽しめる記事や特集を作りあげて行くという。

Vogueの出版元であるコンデナスト・インターナショナルのデジタル・チーフ・オフィサー、ウルフギャング・ブラウ氏は、インターネットの利便性を絶賛。「デジタル化に出遅れるたことが逆に有利に働いている」と、 Vogueにとって最良の時期にデジタル化に踏みだせる幸運に満足そうだ。

「ファッションと国際化は同じラインに並んでいる」との言葉どおり、来年のハブ開設後、デジタル化を効果的にファッション産業に取りいれた代表例として語り継がれるだろう。

一方デジタル化への投資が思いどおりの効果をあげていない代表例が、バーバリーやラルフ・ローレンだ。バーバリーの今年上半期の総売上は前年比4%減の14億ドル(約1465億6600万円)。ラルフ・ローレンも同じく4%減の16億ドル(約1675億400万円)に落ちこんだ。

バーバリーに関してはSNSで4000万人ものフォロワーを獲得しているにも関わらず、売上につなげる戦略が明確に打ちだされていないことを、今年にはいって認めている。つまり宝の持ち腐れ状態で、せっかくのデジタル化への投資がまったく活かされていないということになる。

ラルフ・ローレンはQRコードやタッチスクリーン、4Dでショーが見れるアプリを採用し、昨年からの大幅な売上低下を何とか巻き返そうと苦戦しているが、こちらも今後「いかにデジタル化を集客に活かすか」という重要課題をクリアしないかぎり、狙ったような成果を得るのは難しそうだ。(ZUU online 編集部)

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