「航空会社はどのようにして値段を決定しているのか」という疑問をいだいている消費者は多いだろう。

同じルートでも日によって目まぐるしく値段が変動するのは、「収益の最適化(Revenue management)」が行われているためで、最近では多くの航空会社が価格調整に変動ソフトを利用しているそうだ。

従来の「需要と供給型」からワンランク上の分析・調整が可能

食料品や電化製品のように、需要に合わせて生産量を調節することが不可能な航空業。定員100人の飛行機に10人乗ろうが100人乗ろうが、運行経費は一律だ。売れ行きがよくないからといって、飛行機の座席を減らしても無意味である。航空会社にすればできるかぎり多くの乗客を乗せて運行させたいのは当然だろう。

かつては国際航空運送協会(IATA)が世界の航空運賃の値段を設定していたそうだが、時代の流れとともに競争が激化。

現在は各々がこまめに価格調節を行って収益を最大限に引きだすのだが、賢いソフトが導入され航空会社のネットワークが拡大したことにより、「より多くの座席販売」に重点を置いた従来の需要と供給型の調節から、ワンランク上の価格調節が可能になった。

例えば走行距離5053キロのロンドン・ドバイ間の航空券と、7118キロのマイアミ間の航空券が同じ価格とは、どう考えても腑におちない。しかしソフトがより大きな収益をもたらす乗客が増えると判断すると、座席を優先的にこれらの「高価格乗客」に確保しようとする。

その結果、価格を割高につりあげ、ドバイで休暇を楽しもうと計画していた消費者が「高いから買わない」あるいは「同じ値段ならもっとお得なマイアミに行こう」と、ドバイ行きを諦めるように仕向けるのだ。

「高価格乗客」とはビジネスや急用など様々な理由で、通常よりも高い値段で航空券を購入してくれる消費者を指す。

一般的に休暇目的の乗客は早めに予約する傾向が強いため、価格設定は高めにスタートして様子を見る。ここで購入してくれるのが「高価格乗客」だ。その後売上が思わしくないようならば値段をさげていく。一方ビジネス向けのルート(ロンドン・フランクフルト間など)ならば低価格で売りだし、ギリギリに飛びこみ予約・購入をするビジネス乗客、つまり高価格乗客に高価格で販売する。

高価格乗客の需要予測も賢いソフトが過去のデータを分析し、為替レートの変動なども考慮にいれつつ価格調節まで自動的に行ってくれるという。収益の最適化もデジタル化の時代だ。(ZUU online 編集部)

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