はじめに
人生100年時代の到来も間近といわれるようになった。これから多くの人が長い老後を生きることになる。そうした時代、人生を豊かに生きるために、資産形成がますます重要になることは間違いない。
かつては貯蓄が堅実な資産形成の方法といわれたものだが、低金利時代が長く続き、老後に必要な蓄えも増えた現在は、貯蓄だけでは心もとない。政府も確定拠出型個人年金(iDeCo)の普及に躍起になっているように、これからはリスクの程度はともあれ、資産形成には投資が欠かさせない。しかし、「投資のことはわからない」「財産を失いそうで怖い」と思っている人も多いだろう。
そこで、投資の基本の一つ、株式投資について仕組みやリスクへの向き合い方、期待できるリターンについて紹介しよう。
目次
そもそも株式って何だろう
株式とは、そもそもなんだろうか。なぜ株の価格(株価)は上がったり下がったりするのか。日頃、新聞やテレビ、Webニュースで株についての情報を見聞きするけれど、仕組みそのものがよくわからない、という人もいるのではないだろうか。
まずは株の歴史にも触れながら株式というものを基礎から解説していこう。証券取引所や株式優待などといった株に関する用語についても理解して、株に親しむ第一歩にしてほしい。
そもそも株って何?
まず、理解してほしいのは、株を買うということは、その株を発行した企業への支援であるということだ。
企業は永久拡大を前提として機能している。つまり、前年よりも今年、今年よりも来年と売り上げを拡大していかなくてはならない。それは、経済の発展に寄与すると同時に、勤務者の生活を守らなくてはならないからだ。
例えば、企業が新商品を開発するのはなぜか。それには、多大な時間と労力を要するが、新商品を出し続けなければ、時代に取り残されてしまい、消費者にも見放されてしまう。それでは、経済の発展に寄与できず、従業員を抱えることもできなくなってしまう。
そこで、企業は多額の費用を投じても新商品を開発しようとするのだが、、新商品のような確実に成功するかどうか分からない案件に、銀行はなかなか融資をしてくれない。そこで、銀行に代わる資金の調達法として登場するのが株式だ。つまり、自分たちの将来性に期待する出資者を募るというわけだ。
株主は、その企業の将来性に対し株を買うことで投資を行う。そうやって企業は資金を集め、新商品や新規事業に取り組む。それがうまくいって、利益が出れば、企業は株主に配当金を支払って還元する。これが、そもそもの株式の仕組みである。