株式投資,資産運用
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ネット証券などで口座を開設したものの、どの上場企業に投資して良いのか判断できず、投資行動の一歩を踏み出せずにいる人は多い。なにしろ、東京証券取引所の上場企業だけでも3506社(2015年12月18日現在)もあるのだから、目移りしてしまうのも当然だろう。そこで今回は株式投資を始めたばかりの人のために、銘柄選択のポイントを解説したい。

まずは運用方針を決めよう

銘柄を決める前に、株式投資の目的と投資方針を決めよう。目的が売買益か、配当収入か、株主優待かで、投資する銘柄は全く違ってくる。長期なのか、短期なのかでも違う。もちろん半分長期、半分短期といったスタイルでも構わない。まずは、時間軸、ターゲットのリターン、リスク許容度などをある程度は固めておこう。

銘柄選択は相場環境によっても変える必要がある。アベノミクス初期のような景気上昇局面で、株式市場も上昇傾向にある状況では、リスク許容度を上げて、ボラティリティの高い銘柄に投資するのもいい。しかし、景気後退期で、株式市場も下落傾向にある局面ではキャッシュポジションを増やすこと、ディフェンシブな銘柄を選択する事も必要だ。常に数ヶ月先の景気動向、株価動向をイメージしながら投資スタイルを微調整していく習慣を最初の頃から身につけたい。

それでは、投資スタイル別の銘柄選択のポイントに入ろう。

長期投資の 基本的な考え方

長期でもリスク許容度によりグロース株(成長企業)投資と、バリュー株(割安株)投資がある。長期でリスクテイクが出来るならグロース株投資だ。グロース投資でよく例えられるのは、ソニー <6758> 、セブン&アイHD <3382> 、ヤフー <4689> などだ。各社とも独自のビジネスモデルで高成長だったのに加え、株主還元にも積極的だ。

上記のような企業を探すには、自分の周りで便利で伸びているものやサービスを提供している企業のファンダメンタルズを徹底的に調べることから始めよう。ホームページで開示している主力製品や新規製品のラインナップ、収益力や過去の業績の推移、PER、PBRといった過去の指標、過去の株主還元の実績、今後の中期経営計画などだ。

また、口座を開設したネット証券のウェブサイトや取引ツールでは銘柄のスクリーニング機能があるので、自分なりの評価基準で銘柄をリストアップしてみよう。たとえば、小型株成長株を探すなら、時価総額である程度の制限をつけ、売り上げ成長率が高く、株主還元に積極的な企業でROEの高い株などをスクリーニングしてみよう。新興市場の中から明日のソニー、セブン&アイHD、ヤフーなどが見つかるかもしれない。

バフェット氏に学んで割安株を長期に保有

長期投資でも、住宅購入代金や子供の教育費などリスク許容度の低い資金では、成熟したバリュー株に投資するべきだ。バリュー株投資で有名な米国のウォーレン・バフェット氏は割安株の長期投資で6兆円もの資産を築いた。

長期にわたってキャッシュフローを生み出す株を安いときに買い、日々の値動きはあまり気にしない。バフェット氏の哲学はこれだけだ。別にすごい銘柄に投資しているわけではなく、アメリカンエクスプレス、コカコーラ、IBMといった誰もが知っているような銘柄を長期保有し安いときに再投資しつづけることで莫大な資産を形成した。こういった銘柄も、ファンダメンタルズのスクリーニング機能で、利益率の高さ、バランスシートの健全さ、株価配当利回りの高さ、PER、PBRなどの条件で探すことが出来る。

ちなみに、割安株を長期で保有する場合はNISA口座が有効だ。売買益、配当益への20%の課税が年間120万円〔2016年から100万円から増額)まで5年間にわたって繰り延べられる節税効果は大きい。

短期売買は初心者には勧められない

短期売買は、はっきり言って株の初心者には勧めにくい。株価は長期では、割高なものは下がり、割安なものは買われ、理論的株価に収斂する可能性が高いが、短期だとそうはいかない。

銘柄選択を間違えると、自分のリスク許容度にすぐに達してしまう。ただ、短期売買で生計をたてて、一財産築いた人達がいるのも事実だ。短期売買での銘柄選びには、テーマ性、材料性など次にくる銘柄を連想する判断力、経済指標、決算、新製品などの開示情報でアクションを起こす瞬発力が必要だ。出来高が膨らんで流動性の高いものを選ぶのが基本。一部のネット証券などでは、取引ツールでデイトレード向きの銘柄ランキングを公表している。

PERやROE等の指標で銘柄を選択

銘柄選択でもっとも一般的な指標がPER、PBR、ROEだ。この3指標の複合のスクリーニングだけでもある程度機関投資家好みの銘柄をピックアップ可能だ。

PERは、企業の一株あたりの予想EPSと株価を比較し何倍まで買われているかで割安度を判断する指標。数字が小さいほど割安だ。たとえば、東証1部などの平均PERと比較して、それ以下なら割安といえるが、業種により市場が評価するバリューションが違うので、同じセクター内で割安、割高を見分けるのも効果的だ。

PBRは、企業の一株あたりの純資産(解散価値)と株価を比較して割安度を見る指標だ。1倍を割っていると割安。PERが企業間の相対的な割安度を見るのに有効なのに対し、PBRは個別企業の過去との比較での割安度を見るのに有効。歴史的な底値圏を判断するのによく使われる。

ROEは、企業が株主から集めた資金からどれだけの利益を生み出しているのかの資金効率を見る指標だ。特に外国人投資家が重視する指標なので、日本企業もROEを意識した経営をするようになってきており、注目度が増している。ROEが高いほど会社の成長性があり、配当など株主還元も期待出来る。長期投資には欠かせない指標だ。10%以上がひとつの目安。

テクニカル分析の基本的な考え方と注意点

今まで述べてきたのは基本的にファンダメンタルズ分析だ。ただ株価は必ずしもファンダメンタルズだけで動くわけではなく、需給やテクニカルも大きな変動要因だ。テクニカル分析とは、チャートなどを用い、過去の値動きをパターン分析することでこれからの値動きを予想する手法だ。

トレンド系のもので移動平均分析、ローソク足分析、一目均衡表などがある。トレンド系は順張りに適しているとされている。移動平均分析は特に人気がある。長期トレンド75日移動平均が右上がりの長期上昇トレンドにあり、現在値の75日移動平均からの乖離が少ない銘柄などが好まれる。75日移動平均が右上がりの時に短期の5日移動平均や中期の25日移動平均が下から上に抜けるゴールデンクロスが示現すると強い買いサインだと言われている。

一方RSI、MACD、ストキャスティクス、パラボリックといったオシレーター系分析法もある。相場の振り幅などで、買われすぎや売られすぎなどを察知し循環的な相場の転換点を探るもので逆張りに向いていると言われている。

株式投資をはじめてから学ぶことも多い

実際には、ファンダメンタルズで銘柄を選び、売り買いのタイミングをテクニカルで判断している投資家が多いようだ。ファンダメンタルズ分析には定性評価も必要だが、テクニカル分析は定量評価が出来るためコンピュータの得意とする分野である。テクニカルを利用してシステムトレードを組んで運用しているようなファンドも多くあり、実際にテクニカルにそって株価が動くことも珍しくないので、留意しておこう。

簡単に説明するはずが、難しくなってしまったかもしれない。ハードルを上げすぎずに、まずは株主になってみてから学んでいくのもいいと思う。実際に投資して、利益や損失を計上してはじめて理解できることも多い。上場企業の3506社のうち1200銘柄以上が10万円以下で買える。2016年は小さな金額で構わないので株式投資デビューしてみることをお勧めする。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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