毎年平均寿命の調査を実施している米保険数理人(確率論や統計学を用いてリスク分析・評価を行う職業)協会、ソシエティ・オブ・アクチュアリーが、「今後米国人の平均寿命が急激に低下していく可能性が高い」との警告を発した。

最新の予測データでは65歳の平均余命が昨年より半年間短くなっているほか、ミレニアル世代の平均余命も8カ月縮まっている。白人系米国人のリスクが最も高く、不規則で不健康な生活スタイルが主な原因と見られている。

経済大国に巣食う根深い病 中年の飲酒、自殺なども増加

長年にわたる「米国人=コーラを飲みながら、巨大なハンバーガーとドーナッツを毎日欠かさず食べている」というイメージを、世界屈指の健康サプリメント大国として払拭したかのように思えた米国だが、文化に根づいた不健康な生活スタイルは今なお健在のようだ。

WHO(世界保健機構)の2016年度の統計によると、米国の平均寿命は79.3歳で世界183カ国中、31位。男性は76.9歳(32位)、女性は81.6歳(33位)。一見それほど深刻ではないような印象を受けるが、実は医療の発達した先進国の中では最下位である。

その主要原因として挙げられているのは生活スタイルだ。食生活や運動不足は勿論、特に中年の白人系米国人による過度の飲酒、薬物使用、自殺などが増加していることなどもプリンストン大学の調査から判明している。

これらが原因で1999年から2013年にかけて死亡した45歳から54歳の米国人は9万6000人。欧州、カナダ、オーストラリアなど先進国では年々この年齢層の死亡率が低下しているのに対し、米国が唯一驚異的な上昇を見せている。

そのほかの年齢層にも寿命の縮小傾向が予測されており、現在65歳の男性の平均寿命は半年縮まり85歳、女性は87歳まで低下。昨年は90歳まで生きる確率が50%とされていた25歳の女性も、予想対象年齢が89歳6カ月にまで引きさげられた。

寿命縮小が懸念されているとはいえ、どの年齢層も男性より女性の平均寿命が2年ほど長く予想されている。しかし2013年には米43%の地域で女性の平均寿命低下が報告されるなど、女性だからといって数年の猶予が保証されているわけではなさそうだ。

医療やテクノロジーが進化した現在、本来ならば他の多くの国のように平均寿命が伸びていく方が自然であるにも関わらず、米国はその真逆の方向に進んでいることになる。実際、米国の全体的な死亡率は2010年からの4年間で0.5%上昇。経済大国に巣食う根深い病といったところだろうか。(ZUU online 編集部)

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