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(写真=PIXTA)

最近、大塚家具やセブン&アイホールディングスなど、経営者の世代交代が話題になることが多い。かつてカリスマといわれた経営者も必ず引退の日はくる。

これは中小企業も同じであり、どのように次世代につなぐかは大きな課題だ。うまく引き継ぐためにはどうすればよいのだろうか。

企業は誰のものか

「企業は誰のものか」という問いがある。社長に聞けば「自分の会社だ」との答えが返ってくるかもしれない。確かに、100%のオーナー会社であればそれも間違いではない。しかし、複数株主がいるような会社の場合には、会社は社長のものではなく、あくまで株主のものということになる。また、最近では取引先や従業員なども含めて会社は公共的なものとして存在するともいわれる。

いずれにせよ会社は社長だけのものではなく、多くの利害関係人と密接につながっているので、できる限り存続させるよう努める必要がある。人の寿命は有限だが、会社の場合はうまくやれば永遠に存続させることができる。

とはいえ、サラリーマンと違って経営者には定年がないので、いつ事業を引き継ぐか判断が難しい。判断の目安としては、健康不安がある場合は体力的に仕事が厳しくなってきたとき、売上が減少してきているときなどが挙げられる。売上は景気などの影響も受けるが、年々減少しているような場合には、社長の経営判断が社会的ニーズと合致しなくなってきている可能性があるからだ。

また、攻めの経営ができなくなったとき、変化を受け入れなくなったときも危険信号である。攻めの経営ができないということは、守りに入って企業の成長に限界が来ていることを意味する。変化を受け入れなくなったというのも、思考が硬直化し時代の変化に柔軟に対応できなくなっている可能性が高い。

もちろん、後継者の経営が心配だからある程度軌道に乗せて引き継ぎたいということで、売上が好調の時に事業を引き継ぐことを否定するものではない。むしろ、スムーズな移行という意味では売上が好調な時に事業承継できるのであれば、それに越したことはない。

また、理屈ではなく「何歳になったら辞める」と決めておき、公言しておくというのも有効である。頭ではわかっていても権力や地位を捨てるというのは簡単なことではないので、公言することによって自らを律するのだ。