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(写真=PIXTA)

デジタルメディアがコミュニケーションの主流となりつつある中で、従来型のブランドマーケティングも変化が求められている。オプトが行った「デジタル時代におけるブランド消費の価値観」の調査結果から、これからのデジタル環境でのブランドマーケティングの方向性についてヒントを見出してみよう。

より重視される「体験・経験」の価値

本調査ではまず、消費に関する考え方・価値観について調べている。

「お金をかけるならイベントや経験に使いたい」69%、「お金をかけるなら教養になる事や経験を得られるシーンへ使いたい」64%と、旅行やイベントなどの経験を重視する価値観が高まっていることがはっきりと見て取れる。

この中で注目されるのが、「体験(事)の選び方には目利きでいたい」という人が59%いることだ。「目利き」ということは、人に伝えられるほどその体験やイベントの価値を見る目に自信を持っていたいと解釈できる。

お金の使い方と価値観の違い

「体験・シーンにお金を使う」←→「商品・機能にお金を使う」と、「アピールしたい」←→「共感されたい」の2軸の価値観で分けた4セグメントでの調査もなされている。

最大のボリュームを占めたのは、「体験・シーンにお金を使う」x「共感されたい」の61%だった。ここからも、体験・経験を重視する層が多数を占めつつあることが見て取れる。

一方、「商品・機能にお金を使う」x「アピールしたい」のセグメントはわずか10%だった。従来のブランドマーケティングでは最も重要だと捉えられたであろうこのセグメントが少数派であることは、ブランドのアピール力を重視してきたこれまでのブランドマーケティングを再検討する必要があることを示しているといえる。

SNSでの情報シェアで重要なのは?

SNSは個人が情報発信できるメディアだが、その使い方としては「共感されたい」82%、「投稿は親近感があると思われたい」68%といった回答が多数を占めている。

しかしその範囲は「共感してくれる身近な人に反応してほしい」が72%と、不特定多数ではなく限られた身近な友人などに限られているようだ。あくまでもグループ内での共有なのだ。

「アピールだけはしない」と80%が回答しているが、実際のSNSの投稿を眺めていると、共感してもらいたい体験や経験を通して自分をアピールしているケースが非常に多い。自分の体験、それを経験した自分に共感して欲しいという「共感アピール」なのだ。

「共有されたい」ということの意味合いは、自分の体験・経験を「共有して欲しい」という欲求だ。だからこそ、個人メディアであるSNSを使って友人らに自分の体験・経験のシェアを求めている。

あくまでも発信型であり、相手からのリアクションを期待しているのだということがポイントだ。かつてはアピールしたいコンテンツが商品やブランドであったものが、自分の体験や経験にシフトしたととらえることができるだろう。

最もSNSを多用しているのは意外にも、少数派である「商品・機能にお金を使う」x「アピールしたい」セグメントだった。もはや生活インフラとなったLINE(80%)をはじめ、Twitter(78%)、Facebook(72%)の利用率は4セグメントの中では最も高い。

特に最近急速に存在感が高まっているInstagramは49%と、4セグメントの中で突出して高い。いまや少数派になったとみられた「商品・機能にお金を使う」x「アピールしたい」セグメントでSNSが最も活発に使われているのは意外だ。これは、商品・機能の情報価値は変わらず、現在はそれを発信したい人がSNSをより活用しているのではないだろうか。

ブランドマーケティングでの「体験の共有」とは?

所有からシェアへ、とは最近よく言われている通りだろう。だがその本質的な意味合いは単なる共感という行為ではなく、「共感されたい」という欲求が高まっているということだ。「体験・経験を共有されたい」という価値観が強くなってきた現在の商品やブランドの価値を強力にアピールする従来型マーケティングだけでは十分ではなく、「体験・経験を共有されたい」という欲求にフィットするようにブランドマーケティングをあらためて設計することが重要になってきている。

例えば、人と共有したくなるブランド体験やブランドストーリーだ。他人に語りたくなる、そのブランドならではの体験をSNSを通じて、同じ価値観や趣味でつながっている友人グループに自分のコトバで共有してもらうといったことだ。

ここでは「共有されたい」体験・経験の情報価値の高さが最も重要だ。では、どのように体験・経験の情報価値を高めればよいのだろうか?

ヒントは生活者のナマの声、体験談にある。これらのファクターは企業からはコントロールできないため、ブランドにとって理想的なナマの声や体験談を語ってもらうには、最大の投資を行い、細心の注意を払ってよりクオリティの高いブランド体験を提供することだ。それによってナマの声や体験談の情報価値を高めることを目指す。

これからのデジタルメディアの成長の中では、生活者のナマの体験・実経験の影響力がますます高まるだろう。メディアがデジタルでも、アナログの体験・経験が重要であることを忘れてはならない。(戸神雷太、広告業界出身のコンサルタント)

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