Brexitとの共通点を見いだす英国人
英メディアやエコノミスト、政治家の一部からは、「米版Brexit」と形容する声があがっている。ファラージ元英独立党の「米選挙はBrexit同様、簡潔明瞭なものだった」、コービン党首の「両国ともに貧富格差が拡大された現状への反感を反映する結果」といったコメントはほんの一例だ。
Brexit、トランプ政権ともに「破滅につながる選択肢」と見なされていたが、両国の国民の過半数がリスクの高いギャンブルを選んだという事実は勿論、残された人々がそれほどまでの憤りを結果がでるまで認識していなかった点も共通する。そこにこれまでけっして埋められることのなかった、同国民間の著しい温度差を感じる。
これらの層は「変化は需要があって初めて起こる」という事実を理解していない。理解していなかったからこそ、結果的に変化が生じたのだということにも気付いていない。両国に訪れた過激な変化の根底には、根深い問題が横たわっている。
勝ち組は露 日本は「アジア最大の負け組」?
トランプ氏の政策に関しては、過激な発言で選挙活動中から世界中を震撼させていた「トランポリズム(Trumpolism/トランプ政策を指した俗語)を、クリントン氏という防波堤で食いとめることが不可能になった今、「米国からの逃亡を図る人々でカナダの移住情報サイトがパンク寸前」「Googleで核シェルターの検索数が記録的な数字に達した」などの報道が目立つ。
国際関係については強引さでは最強の大統領に率先され、「露、中との結束が強まるのではないか」という見方が強い。トランプ大統領は特にプーチン大統領に強い尊敬の念を示している。トランプ大統領の勝利を世界の首脳中一番のりで祝福するというかたちで、プーチン大統領はそれに応えた。
中国製品への関税引きあげなどをめぐって対立中の中国とは、より露骨な愛憎の関係になりそうだといわれている。不動産王として知られるトランプ氏にとって、中国は恰好のビジネスの場であり、中国にとっては外交政策経験豊富な歴代の米大統領やクリントン氏に比べ、「米国が選んだ新大統領など赤子の手をひねるようなもの」といったところだろう。
オバマ大統領が堅持してきた対シリア政策の批判者である新大統領の就任で、バッシャール・アル=アサド大統領率いるシリアも「勝ち組」入りしている。
一方「負け組」のレッテルを貼られてしまったのは、日本、イラン、メキシコ、欧州だ。安保条約の批判に代表されるトランプ氏の「反日感情」は、海を隔てた英国にも伝わっている。
イランは核合意の破棄、「国境に巨大な壁を建設する」ほど毛嫌いされるメキシコ、そしてメイ首相直々に祝電を送った英国に至っては、「新政権誕生24時間以上が経過した後、ようやくトランプ氏がメイ首相からの電話に応対してくれた」という。
勝ち組、負け組ともに、トランプ氏を時限爆弾視していることには変わりない。この時限爆弾を破裂させるか制御するかは、各国の出方次第だろう。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)
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