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(写真=PIXTA)

11月11日は中国の国民的行事となったセールが大きく報道された。しかし“独身(単身)の日”について、単身者に改めてスポットを当てる言説も見られた。近年の単身者増加は“第4次単身潮”と表現される。特徴は女性の増加であるという。

単身潮というブーム

2015年の単身者人口は2億を超え、独居人口は5800万人と見られている。中国史上最高の数字である。これまで共産党政権下では、3度にわたる単身者増加の時期があった。

第1次単身潮は1950年代、初めて「婚姻法」が制定され、離婚が法律的に保障され、離婚者が急増したとき。第2次単身潮は70年代、文革により農村に下放された知識青年たちが、都市へ回帰し、結果として離婚が増加したとき。そして第3次単身潮は90年代、改革開放政策による伝統家庭観念の転変にさらされたとき。

そして今回の第4次単身潮の特徴は、経済の飛躍的発展により、女性の“自主意識”が向上したこと、と表現している。第1次〜第3次までは、社会的、経済的な外的要因を主体とするが、第4次では意識改革による内的要因が大きい。2010年の第6次人口調査によると、30歳以上の未婚女性は10年前の約2倍となっている。

単身経済の発展

「単身経済」については第3次単身潮を受けた2001年、経済学誌に始めて登場し、分析は進められてきた。その中から“単身女性経済”の概念もすでに登場済みである。彼女らは、広告業、出版業、娯楽業、その他メディア業の産品及びサービスの生産者兼消費者である。可処分所得の高い彼女らは理想的消費者でもある。行動力に優れ、金使いはの荒さは“激情的”と称される。

別の分析では、単身者(男女とも)は奢侈品消費支出(国全体)の28.6%を占めている。また16%の単身者が、週に1回以上、クラブやバー、カラオケなどナイトライフに消費している。そして支出の31.6%は、娯楽及び社交費と答えている。将来への備え、貯蓄や保険は、5,4%しか使っていなかった。

増加の一途

1人っ子政策は結果として男女比のバランスを大きく乱すことになった。早晩3000万人の男余りが出現する、と見られている。貧困の農山村では結婚へのあきらめが支配している。大都市においても、マンション、車、金銀宝飾を準備しない限り、今どきの都市女性に結婚の同意を取り付けるのは難しい。

こうして結婚が難しくなる一方で、離婚は増加している。西欧思潮の影響を受け若者の心理は軽薄となり、“閃婚閃離(閃光のような速さで離婚)”も珍しくなくなった。

単身世帯を支えるネット通販

もう1つの単身世帯増加の原因として、高齢者の増加が挙げられる。2014年の資料では、中国の60歳以上人口は2億1200万人、全人口の15.5%を占めている。20年には19.3%、2050年には38.6%になると見込まれる。配偶者を失った独居老人の激増は避けられない。

こうして老若両面から単身と単身世帯は増加の一方である。ネット通販の繁栄は国土の広さだけではなく、こうした社会的要件によって支えられている。

今回の記事は、やがて歴史は我々に、なあに単身の人生も素晴らしいよと告げるだろう、と結んでいる。日本ではコンビニだったが、中国ではネット通販が単身生活のライフラインの役割をなっていく。もう従来型の結婚観や批評は通用しない時代となった。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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