11月14日、米国医師会(JAM)が発行する医療情報誌「JAMA」に、砂糖産業が健康リスクの情報操作が行っていたことを立証する有力な証拠が掲載された。砂糖と健康の因果関係については以前から疑惑が浮上していたものの、決定的な証拠に欠けたまま月日だけが流れていた。

しかしカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者が、操作が行われていた詳細を含む論文を公開したことにより、現在健康を維持するための一般基準となっている栄養素(摂取量を含む)などに、大幅なずれが生じてくる可能性も考えられる。

巧妙な操作で隠蔽したリスクが再び浮上 摂取量のさらなる見直し必須?

製糖・清涼飲料・製菓業者などが過去60年にわたり、「人体に害を引き起こすのは砂糖ではなく飽和脂肪酸である」説を打ちだす目的で、高額の報酬と引き換えに研究者を後押ししてきた事実については、これまであまり世間で語られることがなかった。

最近米メディアが報じた例では、コカ・コーラが何百万ドルもの資金を投じて、糖分の高い飲料と肥満の関連性を打ち消すための研究に取り組んでいるほか、製菓メーカーも同様の研究に資金を費やしているという。

砂糖、あるいは砂糖を大量に含む飲食料で利益を得ている企業が、最初にスクロース(ショ糖)と心臓病の関連性説の打撃を受けたのは1950年代。その後1967年に国際総合医学雑誌「NEJM」に「心臓病の主要原因は飽和脂肪酸である」とのレポートが発表され、それまで疑惑の的であった砂糖のリスクから焦点をそらす結果となった。

しかしカリフォルニア大学のクリスティーン・カーンズ氏を始めとする研究たちは、このレポートの出資元が米砂糖研究団体 (SRF/現在の米国砂糖協会)だった事実を入手。レポートを作成したハーバード大学の研究者3人は、米国砂糖協会の主旨に沿った「結果」を報告することで、現代の5万ドル(約546万円)に相当する報酬を受けとっていたことなども発覚した。

カーンズ氏たちはこの事実と近年発表された複数のレポートと照らし合わせ、1960年代から1970年代にかけて、砂糖のリスクを隠蔽、あるいは操作する目的で、心臓疾患を引き起こす原因が不和脂肪酸に故意的にすり替えられたと推測している。

この追求に対して米国砂糖協会は「レポートが発表された当時は、NEJMに調査元の公表が義務づけられていなかった」と反論。「その後の数々の調査からも、砂糖と心臓病の無関連性が立証されている」と、調査の透明性を強調している。

現在では心臓疾患の主要原因は飽和脂肪、砂糖は肥満や虫歯に結びつけられているが、最近になって米心臓協会や世界保健機関が、再び砂糖が循環器疾患を引き起こす可能性について警告を発し始めている。

米国では米国保健福祉省(HHS)と米国農務省によって、5年ごとに「食生活指針」が修正される。今年は初めて糖類摂取量の目安が発表され、1日当たりの摂取カロリーの10%未満が推奨されている。しかし砂糖の消費拡大を推奨している米国砂糖協会は、「科学的な根拠が乏しい」と抗議している。(ZUU online 編集部)

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