運転中、ついスマートフォンを操作してしまう人はいないだろうか。運転中のスマートフォンの操作は危険なので絶対にやめていただきたい行為である。しかし残念ながら運転中にスマートフォン操作をし、死亡事故を起こすケースも報告されている。
ポケモンGOによる死亡事故が発生
世界的大ヒットとなった「ポケモンGO」による交通事故が起きている。2016年8月、徳島県徳島市で軽ワゴン車を運転していた男が、女性2名をはねる事故をおこし、うち1人が死亡し、もう1人は全治1カ月の怪我を負った。ドライバーの男は運転中、スマホゲーム「ポケモンGO」をしていたという。
2016年10月、愛知県一宮市で小学4年の男子児童がトラックにはねられ死亡した。ドライバーの男は運転中にも関わらず「ポケモンGO」をしていたと認めた。
子供の命を奪ったこの事故は世間に大きく報道された。愛知県警や愛知県一宮市はこの事故を受け、「ポケモンGO」の開発会社であるナイアンティックに対し運転中は操作が出来ないようにするなどのシステムの変更を求める要望書を提出した。
これを受け、ナイアンティックは11月にポケモンGOの使用を運転中は操作不可能にする対策を全世界同時に実施した。
運転中のスマホが違法である法的根拠
ポケモンGOでは安全対策が実施されたが、ポケモンGO以外のアプリ等は運転中でも操作ができてしまう。スマートフォンを使う一人ひとりが運転中にスマートフォンを使ってはいけないという意識を持つことが大切である。
せっかくなので、なぜ運転中にスマートフォンを使用してはならないのかという法的根拠を解説する。
道路交通法第71条5の5には、「自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号 若しくは第十七号 又は第四十四条第十一号 に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと」と定められている。
簡単に説明すると、携帯電話等での通話(道路交通法ではハンズフリーでの通話は除く)はもちろん禁止だが、携帯電話に表示された画像を注視することも禁止すると定めているのである。
運転中の通話が違反であるというのは多くの方がご存知だと思うが、表示された画像を注視するのも違反なのである。運転中にスマートフォンを操作した場合は、表示された画像を注視することになるので、違反になるというわけである。
増え続ける運転中のスマホによる事故
道路交通法で運転中のスマートフォンの使用は規制され、取り締まりも行われているが運転中のスマートフォンによる事故は以前に比べ増加傾向にある。2009年には携帯電話の操作が要因となる事故件数が1088件と減少傾向にあった。しかしスマートフォンの普及により、2015年には1700件と年々増加傾向となっている。
一般ドライバーのみならず、バスの運転手までもが運転中のスマートフォン操作により処分を受けている。10月、大阪府に支店のあるバス会社に勤務していたドライバーが、運転中に「ポケモンGO」を使用しているドライバーの様子を撮影した動画がインターネットで公開され発覚した。
長崎県でもバスドライバーがスマートフォンでメールをチェックしていると乗客から情報提供がありドライバーは戒告処分となった。
いずれの場合も事故につながる前に発覚した事件だが、今後もこのような状況が続くといつか大事故にもつながりかねない。全てのドライバーに対して運転中のスマートフォン禁止を徹底して頂きたい。
自転車でのスマホ運転は禁止?
自動車だけでなく、自転車に乗りながらスマートフォンを操作している人もいる。自動車の場合は厳しい罰則があるが、自転車の場合はどのようになっているのだろうか。
実は2016年6月から悪質な自転車の運転者に対して、安全講習の受講を義務づける改正道路交通法が施行された。この法律の施行により自転車を運転しながらのスマートフォンの使用は安全運転義務違反となった。
違反をした場合、刑事処分として3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられる恐れがあるだけでなく、3年に2回摘発された場合は刑事処分とは別に警察本部や運転免許センターなどで3時間の講習を受講しなければならない。受講料が5700円かかるが、受講しなければ5万円以下の罰金が課せられる。
運転中のスマートフォンの操作は自動車・自転車どちらとも法律で規制されており罰則もあるが、罰則の有無にかかわらず、危険な行為であるのでいずれも絶対に許されない。(ZUU online 編集部)
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