要旨
11月8日に実施された大統領・議会選挙では大方の予想に反してトランプ氏が勝利したほか、上下院でも共和党が過半数を確保し共和党が完全勝利した。
大統領選挙では、クリントン氏の得票率がトランプ氏を上回ったものの、選挙人獲得数では、注目された接戦州のほとんどをトランプ候補が勝利した。とくに石炭・鉄鋼などの製造業を抱える5大湖周辺のラストベルト(赤錆地帯)といわれる州で民主党から支持を奪ったことが勝利に貢献した。
出口調査の結果からは、クリントン氏が12年の前回選挙に比べて女性票、白人以外のマイノリティー層の票を取り漏らしている状況が浮き彫りになっており、メール問題やクリントン財団の問題など、同氏の属人的な問題が影響した可能性が指摘できる。
選挙結果判明後に、金融市場は一時的に乱高下したものの、トランプ次期大統領の政策期待から金融セクター中心に株高、長期金利上昇、ドル高となっている。
トランプ次期大統領の経済政策は、減税、インフラ投資拡大、規制緩和など景気にプラスの政策と、不法移民対策、保護主義的な通商政策などの景気にマイナスの政策が混在。
同氏の政策公約は、非現実的な政策や議会共和党と大きく方針の異なる政策が多く、米経済への影響は政策の優先順位や政策遂行によって大きく左右されるとみられ、不透明感が強い。