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(写真=PIXTA)

ほんの少し前までは、年収12万元以上の人は高収入グループに属し、もっと課税すべしとされていた。今そのグループの人たちは、このままでは労働階級に引き込まれてしまうと、ちょっとした恐慌状態にある。これは常に“発酵の持続する”話題の焦点らしい。一方で中産階級は2020年には4億人達成を見込む。その見通しはどうなのだろうか。

中等収入国家に接近

経済学人智庫(Economic Inteligence Unit)の最新報告は、「世界第二の経済体となった中国は、2030年前には中等収入国家入りする。そのときには4分の3の中国人が“中産”となり、中産階層の定義が再び焦点となるだろう。」と予測している。

これに対し中国労働学会副会長は、「我が国の中等収入国家入りは近いとはいえ、中等収入群(中産階級)はまだ社会総人口の20%に達していない。これでは明らかに発展途上国の水準だ。中産階級を増やすことが当面の急務である」と述べている。

現在の所得バランスは、大多数の労働者が平均所得以下で、底辺部に偏っている。そして上部のみ尖った“金字塔型”である。これは発達した市場経済国家のそれではない。

中国中産階級の焦慮

中国人は米国の中産階級を人気ドラマのように想像しているだろう。一家の主人は大型車を運転して3階建ての洋館へ帰る。芝生を敷き詰めた広い庭では、3人の子供たちがはしゃぎ回っている。

しかし中国の中産階級は、米ドラマの生活からはほど遠い。

1985年生まれの李さんは安徽省の農村出身である。あまり有名でない大学を卒業し、北京の民間企業に就職した。奥さんは同郷、同学である。給料は平均的で生活に余裕はない。2009年北京郊外に小さな一軒家を買った。現在は両親が住んでいる。彼は6歳になる子供のため、市中心部にマンションを借りている。2012年には車を購入した。

共働きの夫妻の月収は1万4000元、ボーナスを加えると年収は20万元くらいである。北京の中心区でマンションを購入したいのだが、今は1平米当たり10万元もする。50平米の小型物件でも頭金200万元を用意しなければならず、借金をしなければ不可能だ。

一般の理解では李さん一家の年収20万元は中産階層である。しかし心配ごとばかりである。民間企業は経済減速で大きな危機の中にある。万一に備え、彼は帰宅後に勉強し、補充知識の習得、自己啓発に努めている。そのため毎日とても疲れる。

李さんの悩みは中産階級の焦燥そのものである。

中産階級の算出方法とは、長年の研究からの定義によると、全国または各地の平均から平均の2.5倍まで、としている。この定義に基付くと中産階級の数(2013年)は、全国従業員数7.7億の20%、1.6億人である。彼らの扶養人口を加えると2.4億人以上、全人口の18%となる。

中産階級4億人に向けての国務院の「意見」

したがって、総従業員数の30%、2.7億人が中産所得層入りすると、中産階級は4億人を突破する。2014年以降毎年1600万人増やせばよい。

一方で北京の李さんのように、失業の危機を感じている中産層も多い。国務院は近く「激発重点群体活力帯動城郷居民増収の実施に関する意見」を出し、技能人材、新型職業農民、科学研究人員、ミニ創業者、企業経営管理人員、基層幹部、有能な労働者など潜在力の大きなグループを活用し、所得分配制度改革と調整を行う。4億人達成へむけたテコ入れである。

現実に活性化している業種は不動産業界だけ、という見方は強い。生活の利便性は増しても、新産業の育成はそれに比例していない。中産階級4億人達成は茨の道だろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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